2023年10月17日、ニチコンはV2H「EVパワー・ステーション」の新型を発表、2024年3月の発売を予定している。また、2023年10月28日から一般公開される「ジャパンモビリティショー 2023」で展示するという。

EVライフをより豊かにするV2Hがいま注目の的

V2Hとは「Vehicle to Home」を意味するもので、文字どおりEV(PHEVも含む)のバッテリーに充電された電気を自宅の電力として使うことができる機能を持つ。そしてもちろん、自宅の電源からEVへ充電するシステムでもある。しかも、200Vコンセントからの3kW充電とは異なり、6kWでEVへの充電が可能なので、近ごろEVのバッテリー容量が拡大していることもあり、俄然、注目度が高まっている。

また、太陽光パネルや蓄電池ユニットを加えれば、利便性はさらに高まる。昼間、太陽光パネルで発電した電気をEVが自宅駐車場にあれば、そのまま充電するもよし、EVが外に出ていれば一旦、蓄電池ユニットに貯めて、EVが戻ってきたら蓄電池ユニットからEVへ電気を移せばよい。

あるいは夜間の安い電気を蓄電池ユニットに貯めて、昼間はこの電気と太陽光パネルからの電気で自宅で使う電気をまかなうということもできる。

他にもV2Hを導入するメリットはさまざまあるが、災害時の家庭用電源として活用できることにも注目したい。地震や火災、落雷などにより停電したときに、EVから自宅に電気を供給(給電)することで日常生活を続けられるのだ。

画像: IHクッキングヒーターを導入したキッチンの例。オール電化の家庭で非常用電源の重要性は高まる。

IHクッキングヒーターを導入したキッチンの例。オール電化の家庭で非常用電源の重要性は高まる。

4人世帯の家庭における1日の消費電力は一般的に平均10kWh程度と言われており、たとえば三菱アウトランダーPHEV(20kWh)は満充電で2日分、日産 リーフ(40〜60kWh)は4〜6日分、トヨタbZ4X(71.4kWh)は1週間分の電力をまかなえるわけだ。もちろんこれほど長い間、停電することは希だが、EVが満充電状態でなくても1日、2日は過ごせるだろう。ただし、クルマ側がV2Hに対応しているかを事前に調べておく必要はある。

画像: 71.4kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載するトヨタ bZ4X。

71.4kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載するトヨタ bZ4X。

新型V2H、小型軽量化で壁掛けタイプもラインナップ

このV2H機能を搭載した製品を初めて世に送り出したのが、実は日本のアルミ電解コンデンサ市場で大きなシェアを握るニチコンだ。

再生可能エネルギーを固定価格で電力会社が買い取る「FIT」制度開始(2012年)より前、東日本大震災(2011年)で非常用電源が注目されるより前、2010年にV2Hをはじめとする蓄電や電源システムを主とする新規部門「NECST事業」を立ち上げ、世界初のV2Hシステム「EVパワー・ステーション」を2012年に市場導入したのだ。

さらに日産と組んで電力供給システム「LEAF to Home」を展開、東京ガスやENEOSなどのエネファームのシステムとして導入するなど事業を拡大し、現在では日本のV2H市場でシェア90%を占めるという。

画像: ニチコンのV2Hシステム「EVパワー・ステーション」。奥行きは半分以下の200mmに薄型化。

ニチコンのV2Hシステム「EVパワー・ステーション」。奥行きは半分以下の200mmに薄型化。

そして、このEVパワー・ステーションが第三世代になったわけだが、進化のポイントは、まず設置場所の自由度が大幅に向上したことだ。従来のV2Hシステムは縦855mm×横809mm×奥470mmと大きく、そして重量は91kgと重く、自宅駐車場に設置するにあたって場所の確保に苦労することもあったという。

そこで新型では、本体と充電プラグをセパレートして別体に、そして本体に高効率の新回路方式を採用するとともにファンレスとして小型/軽量化に成功。本体サイズは縦620mm×横470mm×奥200mmで、体積にすると従来モデルの5分の1以下になった。重量は30kg前後で壁掛けもできるというから、さまざまな住宅に設置できる自由度が増した。

また、従来は停電時にV2Hから給電するための切り替え操作がいくつか必要だったが、これを自動化して使い勝手も向上させている。

今回の発表会にゲストとして登壇した岸 博幸氏(慶應義塾大学 大学院教授)は、「日本政府は2030年までに電源構成の36〜38%を再生可能エネルギーにすることを目標にしているが、達成のためには電気を貯めることが重要です。これを家庭レベルで導入しやすく、EVパワー・ステーションのように小型の充電設備が増えていくことは大きなポイントとなります。EVを増やすためのインフラ整備としても重要な役割を担っています」と話している。

画像: 発表会で登壇したニチコン代表取締役会長の武田一平氏(左)と、慶應義塾大学 大学院教授の岸 博幸氏。

発表会で登壇したニチコン代表取締役会長の武田一平氏(左)と、慶應義塾大学 大学院教授の岸 博幸氏。

ニチコンは東京ビッグサイトで2023年10月28日から11月5日に一般公開される「ジャパンモビリティショー2023」に出展する。これからEVの購入を考えている人には、十分に足を運ぶ価値があるはずだ。

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