パイオニアは9月21日、スマートフォン専用カーナビアプリ「COCCHi(コッチ)」のサービス提供を同日より開始したと発表した。Android版/iOS版が用意され、利用プランは月額350円の「基本プラン」と、機能を制限した「無料プラン」の2種類を用意した。基本プランは最初の30日間のみ無料で使用できる。

通信によるアップデートも可能

COCCHiには、「カロッツェリア」などパイオニアがこれまで培ってきたカーエレクトロニクス商品開発での知見が活かされており、スマートフォン専用カーナビアプリとしてはトップクラスの高精度とドライバーアシスト機能を搭載したのが特徴だ。

特にナビゲーション機能では、同社ならではの高度なルーティング技術や走行履歴データを活用。道幅や車線数はもちろん、信号の数や交差点の曲がりやすさなどを考慮して、安全かつ最適なルート探索/案内を可能としている。

また、アプリ内には「お助けボタン」を設置しており、このボタンを押すと、周辺にある駐車場やトイレ施設を検索。ほかにも渋滞情報の確認や並走道路への切り替えなどのアシスト機能が利用できる。

画像: アプリ内にはドライブ中に緊急で対応できる「お助けボタン」を用意。併走道路の切り替えができるのも便利だ。

アプリ内にはドライブ中に緊急で対応できる「お助けボタン」を用意。併走道路の切り替えができるのも便利だ。

また、走行履歴で得たログデータをもとにCO2排出量やガソリン代金を可視化できるため、そのデータをもとに自身の運転を振り返って環境や財布にも優しい運転につなげていくことも可能だ。

そもそもこのアプリは、ドライビングパートナー「NP1」でも展開されている独自のモビリティAIプラットフォーム「Piomatix(パイオマティクス)」を活用したものだ。

複数のAIテクノロジーと音声インターフェースなどの技術基盤によって支えられており、通信によってアップデートが可能なOTA(Over the Air)にも対応しているのも大きな特徴だ。パイオニアでは、今後も幅広いドライバーに役立つ、カーナビメーカーならではの機能を順次追加していく計画だという。

ディスプレイオーディオとの組み合わせがベスト

では、有償の「基本プラン」と「無料プラン」のどちらを選べばよいのか。その違いを比べてみたい。

当たり前だが基本プランの方が機能は充実している。自車位置測位がGPSオンリーとなってしまうのは他のカーナビ用アプリと同様だが、提供内容はほぼ車載カーナビに匹敵するレベル。それだけに「COCCHi」は、衛星からの電波が安定して受信できる環境下で、ディスプレイオーディオと組み合わせて使うことを前提とすれば、車載カーナビと大差ない使い方ができると言っていいだろう。

その有償の基本プランの詳細だが、目的地を設定したら「到着が早い」、「コストが安い」、「道幅が広い」の3種類の検索方法から最適なルートを探索できる。案内ルートにはパイオニアがスマートループで独自に収集したプローブデータに加え、リアルタイムのVICS情報が反映される。

これにより、高精度な到着時間予測や出発時間の算出が可能となるのだ。また、ルート案内中に発生した渋滞にも対応するため、常に最適なルートが提案されることも見逃せない。

画像: スマートフォン専用カーナビアプリ「COCCHi」。基本プランでのルート案内画面。非常に見やすい。

スマートフォン専用カーナビアプリ「COCCHi」。基本プランでのルート案内画面。非常に見やすい。

さらに基本プランでは、交差点イラスト表示に対応してよりわかりやすいルート案内を可能にしたほか、オービス情報にも対応。駐車場の空情報も案内されるため、目的地付近でスムーズに駐車できるのも便利だろう。

また、基本プランでは「Apple CarPlay」、「Android Auto」にも対応しているため、ディスプレイオーディオとの組み合わせて使うことも可能になる。広告が非表示になるのも有償プランならではの嬉しいポイントだ。

一方の無料プラン。ルート探索は推奨ルートのみとなるが、それでもスマートループによるプローブデータは反映される。ルート案内中はイラストによる交差点拡大図は表示しないものの、分岐案内は行われるため、複雑な交差点を含まないルートなら十分対応できそうだ。

ただ、このプランでは「Apple CarPlay」、「Android Auto」には対応しない。それだけに、このプランはあくまで一時的な使い方が最適。もし、ディスプレイオーディオで使うことを前提とするなら、基本プランの一択となる。無料プランでは、広告の表示も行われることも知っておこう。

●著者プロフィール
会田 肇(あいだ はじめ)1956年、茨城県生まれ。大学卒業後、自動車雑誌編集者を経てフリーとなる。自動車系メディアからモノ系メディアを中心にカーナビやドライブレコーダーなどを取材・執筆する一方で、先進運転支援システム(ADAS)などITS関連にも積極的に取材活動を展開。モーターショーやITS世界会議などイベント取材では海外にまで足を伸ばす。日本自動車ジャーナリスト協会会員。デジタルカメラグランプリ審査員。

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