BセグメントコンパクトEVは実はまだ数少ない
2023年6月単月の数字だが、日本国内のBEV普及率(軽自動車を含む乗用車全体)がようやく2%(2.39%)を超えた。けん引したのは軽自動車の日産サクラで3236台。乗用車全体のEVの販売台数が7930台なので、およそ4割をサクラが占めていたことになる。
輸入EVも引き続き好調で、銘柄別の詳細は不明ながら、2079台が登録されている。人気の中心はやはりSUV系で、テスラモデルY、フォルクスワーゲンID.4、アウディQ4eトロン、メルセデスEQBやEQAなどが日本の道路・駐車場環境でも使いやすく人気が高い。
この流れは今後しばらく続くはずだが、どうせ乗るならもっと個性的なEVがいい、という方はこれから紹介する3台の国内発売を待つのはいかがだろうか。いずれも、いわゆるBセグメントサイズの気軽に乗れるコンパクトEVであると同時に、独創的な内外装デザインやこだわりの乗り味による特別感を味わうことができるはずだ。
伝説の名車がEVに! フィアット600e
まずは7月4日にイタリア本国で正式発表されたばかりの「フィアット600e(セイチェントイー)」。セイチェントはフィアット初のリアエンジン搭載車で、1955年代半ば〜1969年にかけて生産された2ドアセダン。フル電動のコンパクトクロスオーバーとしてよみがえった「600e」は、「500e」に続くフィアットブランドの新世代EVであり、フィアット500Xの実質的な後継車として位置づけられる。
フィアット600eは、全長4171×全幅1781×全高1523mm(スペックは欧州仕様、以下同)のコンパクトなボディ。「500e」よりもひとまわり大きいが、それでも全幅は1781mmと、昨今のBセグメントカーとしては標準的な数値に収まる。コンパクトなボディながら、大人5人が快適に移動できるスペースが確保されているのもEVの恩恵だ。
最高出力115kW(156ps)/最大トルク259.8Nm(26.5kgm)を発生するシングルモーターでフロントタイヤを駆動する。駆動用バッテリーの容量は54kWh。航続可能距離は欧州WLTP複合モードで最大600km、同市街地モードで400kmを達成するなど、動力性能も十分で使い勝手も良さそうだ。ちなみに0→100km/h加速タイムは9.0秒で、3つのドライビングモード(エコ、ノーマル、スポーツ)も用意されている。
イタリア本国ではすでに受注が始まっており、今年9月から納車が始まる。2(3)ドアの「500e」は気になる存在だが家族を乗せるには小さすぎる、という方は注目しておくべき存在だろう。国内導入時期は公表されていないが、2024年中には発売される可能性が高い。