インターフェイスに音声を活用
NP1が持つ最大のポイントは、本体に備えた通信機能を使って定期的にアップデートを行えることにある。本体にはカーナビゲーション機能やドライブレコーダー機能、さらには搭載したカメラ機能を使って外部との多彩なコミュケーションを図ることもできる。つまり、利用者は通信契約さえ結んでいれば、これらの機能を常に最新の状態で使い続けられるということになる。
本体は小さめの弁当箱サイズに相当し、これをフロントウインドウの上部に取り付け、電源はシガーソケットから取る。本体には前後2つのカメラが備えられ、これがドライブレコーダーとしての役割を果たす。
その一方でスマホと接続することでカーナビゲーションとしての機能も備える。クルマによっては、取り付けた状態が少し大きく感じるかもしれないが、これ1台ですべての機能を果たすオールインワンモデルと考えればそれも納得がいくだろう。
注目したいのはインターフェイスに音声を活用していることだ。たとえばカーナビゲーションなら、これまではディスプレイ上に地図を表示して音声と共にルートガイドするのが基本スタイルだった。
しかし、それらの操作は高機能化が進むほど複雑化し、ドライバーにとって大きなストレスともなっていた。そのストレスを、最も身近なインターフェースである音声によって解決しようと誕生したのがNP1と言うこともできる。
音声だけで目的地設定ができる
その機能を果たす中核となっているのが専用アプリ「My NP1」だ。カーナビゲーションの目的地検索では、曖昧なキーワードが入力されてもサーバーにある高性能な音声認識エンジンが即座に理解する。
これによって音声でのやり取りだけで目的地が設定でき、ルート案内中もきめ細かなガイドによって目的地へと誘導するのだ。しかもスマホをディスプレイとして併用できるので、仮に音声だけではわかりにくい複雑な交差点に対してもしっかりとサポートしてくれるのだ。
通信機能はドライブレコーダーでも活かされる。走行中に衝撃を検知するとその時の映像は自動的に指定のスマホやクラウドにアップロードされ、アクシデントに見舞われている時でもサーバー上に確実に残しておける。
もちろん、一般的なドラレコと同じように気に入ったシーンを動画や静止画で残すことも可能。その時は音声で「動画を撮って」「写真撮って」と告げるだけでいい。ここでも音声によるインターフェイスが役立つのだ。
観光スポットでは音声ガイド
また、ドラレコ機能に通信が伴ったことで便利と感じるのが駐車監視だ。衝撃を検知すると指定したスマホに映像と共に通知されるので、離れたところに駐車していてもトラブル解決へスピーディに対応できる。さらにアップデートによって、車上荒らしなど、マイカーが被害に遭っている時は遠隔操作で警告を発することもできるようになった。
さらに通信機能をうまく活かしていると思えるのが、専用アプリMy NP1上で使う「ドライブコール」だ。これはあらかじめて登録した外部にいる人と、車内で撮影した映像を介してコミュニケーションが図れるというもので、この機能を使えば初めて訪問する先への道順を教えてもらうこともできる。映像はリアルタイムの動画で送られるので、「もっと先、そこを右……」といった案内を聞きながら目的地へたどり着けるのだ。
ドライブ中の気付きにもNP1は貢献する。それが「ドライブトピック」という機能で、全国にある多彩なスポットを音声でガイドしてくれるというもので、時間や位置などの諸条件を当てはめて最適な最新情報を提供してくれる。
しかも、アップデートによってこのガイドを人気声優が案内したり、ガイドがしつこくならないようなアルゴリズムを加えるなど、日々使い勝手を高めているのも見逃せない。
Amazonアレクサにも対応
そして、この1年間のアップデートでNP1はAmazonアレクサにも対応した。これを使えば、最新ニュースや天気予報などのリアルタイム情報が得られるだけでなく、Amazon Primeの会員なら好みの音楽をエンドレスで楽しむこともできる。
NP1を車内のカーオーディオにBluetooth接続すれば、それこそお気に入りの音楽をエンドレスで楽しめるのだ。この対応によりドライブの楽しさをさらに高めてくれること間違いなしだ。
このNP1の価格は、バリュープラン(通信+サービス利用料3年分付)9万3500円(税込)、ベーシックプラン(通信+サービス利用料1年分付)6万5780円(税込)。加えて、最近は10日間4400円(税込)/30日間6600円(税込)のお試しプランもスタートした。このプランでは使って気に入ったら残額を支払えばいい。さらに、エンドレスで車内Wi-Fiを実現する「docomo in Car Connect」にも対応していて、その費用は必要な時に使う分だけ申し込めばOKというのも嬉しい。
発売後NP1はアップデートを繰り返し、この1年間にその能力は大幅に高められた。形こそ発売当時のままだが、その中身の進化ぶりは想像以上で、もはや発売時とはまったく違うレベルにまで到達している。
通信料がかかることで導入を躊躇する声も聞かれるが、コネクテッドによって新たな機能が追加されていくのは、大きな楽しみともなるはずだ。次回はそんなNP1を使った実例を紹介していきたいと思う。
●著者プロフィール
会田 肇(あいだ はじめ)1956年、茨城県生まれ。大学卒業後、自動車雑誌編集者を経てフリーとなる。自動車系メディアからモノ系メディアを中心にカーナビやドライブレコーダーなどを取材・執筆する一方で、先進運転支援システム(ADAS)などITS関連にも積極的に取材活動を展開。モーターショーやITS世界会議などイベント取材では海外にまで足を伸ばす。日本自動車ジャーナリスト協会会員。デジタルカメラグランプリ審査員。