2024年に合計6車種の新型EVを発売
まず二輪車についてだが、2025年までにグローバルで電動車を合計10モデル以上投入する。さらに2030年には、総販売台数のおよそ15%にあたる年間350万台レベルの電動二輪車の販売を目指すという。
2023年中には、交換式バッテリー(「Honda Mobile Power Pack e」)を搭載した新型電動スクーター「EM1 e:」を日本と欧州、インドネシアで発売するとのことだ。
4輪事業領域では2040年にEV/FCEV100%メーカーになることを宣言したホンダだが、2030年までに年間のEV生産台数をグローバルで200万台以上とすることを目標に掲げている。
2022年の全世界生産台数はおよそ387万台なので、7年間でEV生産比率を50%近くまで高めるというわけだ。そして今回明らかにされたのは、直近となる2024年に投入されるEVの発売スケジュールだ。
地域で見ていくと、北米ではGMとの共同開発車2台を発売。ホンダブランドは「PROLOGUE(プロローグ)」、アキュラブランドは「ZDX」となる。
中国は年初頭に「e:NS2」と「e:NP2」をそれぞれ発売。さらに上海モーターショーで公開したコンセプトモデル「e:N SUV 序」の量産モデルも同年中に発売する。中国ではこの3モデルに加え、2027年までに10機種のEVを投入し、他地域に先駆けて2035年までにEV販売率100%を目指すという。
そして日本では同年前半にN-VANをベースにした軽商用EVを発売。さらに2025年には「N-ONE」をベースとした新型EV、2026年にはSUVタイプを含むコンパクトEVを2機種発売する予定だ。
さらに2025年に北米で投入する中大型SUVから、独自のEV専用プラットフォームを採用することも明らかにされた。新たに開発する新ビークルOSを実装することで、車載ソフトウエアを常に進化させて購入後も機能やサービスをOTAで更新することが可能になる。
同様の試みはテスラを筆頭に、トヨタ、日産、フォルクスワーゲン、メルセデスベンツほか世界中の大手自動車メーカーが取り組んでいるだけに、ホンダOSがどのような仕組みになるのか興味深いところだ。
パートナーシップを活用したバッテリー戦略
電動化のキーとなるバッテリーは、調達の安定と日進月歩の進化とどう向き合うかがポイントだ。ホンダは外部パートナーシップを活用しながら、スピーディな展開を図る目論見だ。見据えているのは、完全自社開発となる全固体電池の早期実用化だ。
当面の間は液体リチウムイオン電池を継続。北米市場向けではGMから「アルティウム」を調達するとともに、韓国LGエナジーソリューションとの生産合弁会社を設立した。また中国ではCATLとの連携を強化、エンビジョンAESCからは日本の軽商用EV向けの電池を調達する。
そして2020年代後半以降は液体リチウムイオン電池を継続して進化させるとともに、半固体電池や全固体電池など次世代電池を開発し、順次投入していく。
GSユアサとは合弁会社にて高容量・高出力のEV用液体リチウムイオン電池を開発するとともに、2024年にはホンダが自社開発する全固体電池の実証ラインを立ち上げ、2020年代後半に予定しているモデルへの採用を目指す。
また米のEV用バッテリー研究開発会社であるSESへの出資を行い、半固体電池(リチウム金属二次電池)を共同開発する。
2021年4月の三部社長就任会見でなされた衝撃の「脱エンジン宣言」からわずか2年。今回の会見ではそれが絵にかいた餅ではなく、スピーディかつ着実に実行されていることが確認された。
「存続を期待される企業」であり続けるために為すべきことはなにか。100年に一度と言われる激動のさなかにあって、ホンダの決意は揺るぎないようだ。