ターゲットはZ世代とファミリー層
トヨタは中国市場向けとしては、BYDとタッグを組んだbZシリーズ第2弾の「bZ3」がすでに2022年10月に発表・発売済だ。今回の2台が加わることで、2024年までに中国市場で発売されるbZシリーズのラインナップが見えた。
■bZ Sport Crossover Concept
BYD TOYOTA EV TECHNOLOGY カンパニー有限会社(以下、BTET)、一汽トヨタ自動車有限会社(以下、一汽トヨタ)、豊田汽車研究開発センター有限公司(以下、TMEC)の3社との共同開発によるクロスオーバータイプのEVだ。
いわゆるZ世代をターゲットに開発され、「運転支援や自動駐車などの知能化機能も含めご購入後もクルマ全体が進化し続け、オーナーの方が、最新の状態のクルマを五感でお楽しみいただけるよう、開発を進めています」とトヨタが言うように、現在開発中の車載OS「Arene(アリーン)」のコンセプトが一部に先行採用されていることを匂わせている。
■bZ FlexSpace Concept
こちらは、広州汽車集団有限公司(以下、GAC)、広汽トヨタ自動車有限会社(以下、広汽トヨタ)、TMECとの共同開発によるファミリー向けSUVタイプのEVだ。
これも詳細なスペックは明らかにされていないが、「圧倒的な大空間と扱いやすさ・高度な安全性・安心の航続距離を実現させたうえで、知能化の機能も搭載。ご家族や友人・カップルなどに寄り添い、より生活を楽しんでしていただけるようなクルマを目指し、開発を進めています」というように、実用性を重視したファミリーカーとして市販される見込みだ。
トヨタが2021年4月に上海モーターショーで初めてのbZシリーズ「bZ4Xコンセプト」を発表して早くも丸2年が経過した。2022年4月にその量産モデルである「bZ4X」を国内発売、同年10年にはBYDとの共同開発による中国専売車「bZ3」を発表、同時期にはロサンゼルスオートショーでは「TOYOTA bZ Compact SUV Concept」も公開するなど、EVラインナップの拡充に弾みをつけている。
2021年12月には「バッテリーEV戦略に関する説明会」を開催して、bZシリーズを始め今後投入されるEVのコンセプトカーを公開済みだ。その中には発表直後のbZ4Xを始め、まだ公表されていなかったbZ3(当時は「bZセダン」)も並べられていた。
ちなみにトヨタは2020年に欧州でbZシリーズの商標登録を行っている。「bZ1」、「bz1X」に始まり、「bZ2」、「bZ2X」、「bZ3」、「bZ3X」、「bZ4」、「bz4X」、「bZ5」、「bZ5X」まで合計10車種だ。すでに発売されたbz4XとbZ3はともかく、今後この中の車名を与えられた新EVが誕生することは間違いない。
それを裏付けるように、4月に開催された新体制方針説明会では、2025年に北米でもEVの3列シートSUVが生産開始されることが明らかに。また2023年内には、すでにタイ トヨタの60周年記念式典(2022年12月14日開催)で披露されたハイラックスEVの生産も開始される。
2026年までにbZシリーズを牽引役に10モデルを新たに投入、年間のEV販売台数は150万台を目指すトヨタ。急激なEVシフトの行方に世界中から注目が集まっている。