使い勝手は◯、荷物入れは×
荷物は背もたれのうしろにある荷物入れに載せるわけだが、これが意外と大変。載せる部分がちょっと小さく、カゴ状ではないので不安定な荷物であれば車椅子から落ちてしまうだろう。しかも、バッグのショルダーストラップが少しでもはみ出すと、警告画面を表示して動かなくなってしまう。
確かに、荷物置きの横が開いていた方が出し入れはしやすいかもしれない。しかし、だとすればなおさら荷物入れをカゴ状にすることで、たとえ荷崩れしてもはみ出さずに済むようにしてほしいところ。
2022年10月に関西国際空港でも運用が開始され、そこに導入されたマイナーチェンジ後のモデルでは、カゴ型のタイプに改良されているそうなので、羽田空港にある機材が更新されることに期待したい。
操作方法は、左の肘掛け部分にニョキッと突き出しているスマホのような縦型タッチディスプレイで行う。言語表示を英語か日本語から選び、乗車制限の確認画面、走行中の注意事項の画面を経て、行き先表示をタッチするだけで、非常にシンプル。
あとは、自動で目的地まで快適に連れて行ってくれ、到着までの時間も表示されるので便利。走行中は歩行者への注意喚起のために特徴的な音楽が流れ続けるのだが、他に利用者がいないことや移動速度が2.5km/hであることも相まって、注目度を爆上げしてしまうので、周囲の視線が少し気になってしまう。
ちなみに、この自動運転車椅子は基本的に同じルートを通るようで、空港の床面(フロアマット)に通行した車輪の跡ができていた。筆者が乗った車椅子もピタッと同じコースをたどっていたので、また一段とフロアマットのくぼみが深くなったことだろう。
目的地に到着すると到着アナウンスが流れ、自分の荷物を持って車椅子から離れれば勝手に持ち場に戻ってくれるため返却の手間は不要。しかも、その場で転回できるオムニホイールを採用しているので、狭い場所や混雑した場所でも方向転換できる優秀な性能を持っている。
ただ、ひとつ残念な点を挙げるとすれば、帰還中の車椅子に乗車できず、毎回定位置からでないと利用できない点。これに関しては、今後のアップデートで改善されることを願う。