2023年2月初旬、ENEOSマルチモビリティステーションが駒沢大学駅前で営業開始した。今話題の電動キックボードに加え、電動アシスト自転車、超小型EV、電動二輪スクーターを選べる、文字どおり“マルチ”なモビリティをラインナップするステーションである。

電動アシスト自転車

HELLO CYCLINGブランドの電動アシスト自転車で、別途スマホアプリをインストールし、決済手段を登録する必要がある。ちなみに、クレジットカードに加えて、PayPay決済が可能で、ユニークで便利なサービスとなっている。

PayPay決済は、PayPayのアプリ内にある「シェアサイクル」ミニアプリから行う。しかも、この場合はHEKKO CYCLING会員登録を行わずに即利用できるので便利である。なお、HELLO CYCLINGは電動アシスト自転車なので、免許の登録は不要だ。

電動キックボードは一度発進すれば漕がずに走行できるのに対して、電動アシスト自転車はモーターアシスト付きの自転車であるため、漕ぎ続けないと停止してしまう。ただ、電動キックボードが最高速15km/hで、車道を走行する必要があるのに対して、自転車は自転車の歩道走行可能区間においては歩道を走行でき、24km/hまでモーターアシスト付きで、それ以上の速度域も普通の自転車として走行できる。

画像: 電動アシスト自転車は人気で、10分に1回入れ替わるくらいの頻度で利用されていた。

電動アシスト自転車は人気で、10分に1回入れ替わるくらいの頻度で利用されていた。

以上の点を考慮すると、高速性・積載力を持つ日常の移動手段としての観点では電動アシスト自転車に軍配が上がり、夏場など歩いたり漕いだりしたくない場合の超短距離移動手段としては電動キックボードに軍配が上がるということだろう。

返却時には、LUUPの電動キックボードとは異なり、枠内に止めるのではなく駐輪ラックに前輪を入れて、アプリで操作したら完了。

電動スクーター

HELLO MOBILITYブランドの50cc原付一種に相当するスクーター。ただし、残念なことに配達業務など法人向けサービスとなるため、一般人の利用はできない。一般利用者向けにも開放する予定はあるそうなので、今後の展開に期待といったところか。

画像: 法人向け電動スクーター。自分でバッテリーを交換できるのは画期的なシステム。

法人向け電動スクーター。自分でバッテリーを交換できるのは画期的なシステム。

利用を開始すると、ハンドル下の箱から物理キーが出てくるので、そちらを鍵穴に差し込んでスクーターの電源をつけることができる。また、この物理キーとセットで丸い形のICチップが付属しており、そちらはバッテリーを交換する際に使用する。

航続距離は満充電で約87km。利用する際は、同ステーションには(株)Gachacoによるバッテリー交換サービスがあるので、充電済みのバッテリーに交換しておいたほうが安心だろう。ヘルメットはサドル後方にある箱に入っていて、使い捨てのヘアキャップも備え付けてあるので衛生面もバッチリだ。

画像: 物理キー付属のICタグを機械の四角い部分にかざすと充電済みバッテリーが発光してお知らせする。

物理キー付属のICタグを機械の四角い部分にかざすと充電済みバッテリーが発光してお知らせする。

超小型EV

HELLO MOBILITYブランドの超小型EV。超小型モビリティとは、50ccの原付4輪規格(ミニカー)以上、軽自動車以下の自動車であり、このステーションでは「C+pod」と「FOMM ONE」がそれぞれ1台ずつ用意されている。

画像: 手前が「C+pod」で奥が「FOMM ONE」

手前が「C+pod」で奥が「FOMM ONE」

周辺に返却ステーションがなく、一番近いステーションが横浜市内であることを踏まえると、現状ではまだ他のシェアモビリティサービスのように、片道利用ができる段階ではない。ただ、今後すでに展開しているシェアモビリティステーションの空きスペースに積極的に進出することで、いつでもどこでも利用できるように拡充していく方針なのだそう。

そうなれば、行きはキックボードで行って、帰りは荷物を積むために超小型EVを借りるといった利用方法が考えられ、便利な世の中となっていくであろう。

利用時の留意点

今回取材した、ENEOSマルチモビリティステーションで利用できるモビリティは全てアプリケーションのインストールとユーザー登録、決済手段の登録が必須となり、電動キックボードと超小型EVは免許証の登録も求められる。

また、電動キックボードに関して、駒沢大学駅前の国道246号線、環七通りは走行禁止エリアとなっているため、歩道に移動してから手で押して移動しなくてはならない。これは、原付の半分しか速度の出ない電動キックボードが、1日の自動車交通量が4万8000台以上の道路で交通事故を起こさないために、警視庁が設定したものだが、このステーションから電動キックボードで東方向、南方向へいく場合に必ず通ることになるので、そこは降りて手で押さなければならない。

画像: LUUPアプリの実際の画面。ENEOSマルチモビリティステーションは東と南を走行禁止エリアに囲まれている。

LUUPアプリの実際の画面。ENEOSマルチモビリティステーションは東と南を走行禁止エリアに囲まれている。

まとめ

今話題のモビリティ詰め合わせセット「ENEOSマルチモビリティステーション」は、様々な最新電動モビリティに乗ることができる施設だが、これからさらにサービスの向上が期待される。特に超小型EVは付近に代替返却ポートがなく、電動キックボードも東方面・西方面が走行禁止エリアとなっているなど普及期ならではの課題もある。

しかし、これだけの種類のモビリティをこの台数揃えているということは、近未来の移動手段を体験する“試乗スポット”として考えてみると、非常に魅力的な施設である。2人乗り超小型EVは他ではなかなか乗る機会もないだろうから、他のポートで電動アシスト自転車等の電動モビリティを借りてこのステーションに来て、超小型EVに乗ってプチ観光するといった複合的な利用方法はいかがだろうか。

都内の狭い道であっても、軽自動車以下の寸法の超小型EVであればスイスイ通れるため、ペーパードライバーや免許取り立ての学生にもおすすめだ。

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