ポートへのビーコン設置、およびジオフェンシング制御に関する最新状況についての報告も行われた。
サービス範囲拡大にともない、求められる安全対策
2024年8月の日本市場参入から1年。開始当初は都内6区を対象にポート数40カ所、車両数200台でスタートした同社のサービスは、対象地域が都内16区と沖縄市に広がり、ポート数と車両数もそれぞれ500カ所/1300台まで拡大。特にポート数は2025年末までの達成目標であった500カ所設置を、3カ月以上早くクリアすることとなった。
そんなLimeが、サービスの拡大と並行して取り組んでいるのが安全対策とマナー対策だ。ラストワンマイルをつなげる利便性の高い交通手段として、普及が進む電動モビリティのシェアリングサービスだが、一方で利用時のマナーや安全性などに、数多くの課題を抱えていることもまた事実だ。
そうした現状に対し、安全性と信頼性を第一義に掲げるLimeは、車両製造からソフトウエアの企画開発まで、すべてを自社で完結している強みを活かし、システム制御により安全性・秩序性を確保するための仕組みを整えることで、課題の解決に取り組んでいる。
新システムの導入により、違反・過失を未然に予防
現在、同社が特に注力しているのが、駐車マナーの強化と、制限地域への誤進入の防止だ。
電動モビリティのシェアリングサービスが抱える社会的問題として、定められた区域内に車両を停車させず、他の通行者の妨げになるマナー違反や、高速道路や自動車専用道路への誤進入にともなう、事故発生の危険性を指摘する声は多く、シェアリングサービスの提供社にはこれらの問題への解決策の提供が求められている。

Bluetoothビーコンの設置例。返却手続きのために赤丸で囲ったビーコンから3m以内に車両を停車させることで、ポート区域内への適性な停車を促す。また右図のようにビーコンを複数配置することで、設置台数の多いポートにも対応が可能となっている。
そのような状況の中、Limeは駐車状況改善に向けた対策のため、ポートにBluetoothビーコンを設置。ビーコンとGPSの組み合わせにより、ポートの3m以内に車両を駐車してはじめて、返却手続きが完了となるというシステムを採用した。
Limeでは2025年6月に全ポートへのビーコン設置を完了したが、設置を段階的に進めた2025年5月〜6月の2カ月間において、Limeへの「駐車違反」に関する苦情件数は80%も減少。指定エリア外への駐車を防止し、駐車マナーの向上を促すという同社の狙いは、一定の成果を挙げることとなった。

「ジオフェンシング制御」走行禁止エリアの図例。走行禁止エリアに進入すると、システムの制限がかり車両は緩やかに減速して停車。区域内での走行が不可能となる。
また後者の課題に関しては、誤進入を未然に防止する「ジオフェンシング制御」という技術を導入している。

Limeアプリ上に表示された、代々木・明示神宮・新宿御苑の走行禁止エリア(左)と、首都高速・渋谷の出入口。
これは、GPSの位置情報を用いて地図上に仮想的な境界線(ゾーン)を設定し、車両がそのゾーンに誤って進入してしまった際に自動的に速度制限の制御を行う、というものだ。Limeによると本技術の導入に伴い、直近30日間で全体の約3%に相当する車両の、走行禁止エリアへの誤進入を未然に阻止できたことが、走行データから判明しているという。
4月のサービス開始当初の「ジオフェンシング制御」の導入地域は、皇居、代々木公園、明治神宮、新宿御苑と首都高の渋谷(上り)、新宿、池袋の計7カ所であったが、現在は公園・観光地が5カ所、首都高速の出入り口が9カ所の計14カ所に運用が拡大。今後さらに対象地域を拡大し、2025年内に計50カ所への導入を目指すとのことだ。
ワールドクラスの技術力とデータに裏打ちされた、安全性と信頼性
Limeは、最先端の技術、安全教育の充実、ライダーへのインセンティブ制度を組み合わせることで、世界最高水準の安全性と信頼性を誇るマイクロモビリティサービスを実現している。
特に累計3億回以上という、全世界の利用データを元として開発される各種のシステムは、様々な
事故や違反の防止、同社サービスの安全な運行に資するところが大きい。今回発表されたビーコン設置やジオフェンシング技術の成果は、そうした同社の技術力の一端を示すものであり、またLimeの社会貢献に向けた姿勢をも表すものでもある、ということができるだろう。





