文:スマートモビリティJP編集部
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日独はそれぞれ核融合発電の研究実績がある
ヘリカル方式とモジュラーステラレーター方式は、いずれも主に外部コイルでプラズマを閉じ込める磁場を形成するため長時間・定常運転に適しており、商業用の核融合発電を実現する有力なアプローチの一つとされる。

外部コイルによってプラズマを閉じ込める磁場を形成する「ヘリカル方式」の核融合炉を開発している。
日本は核融合科学研究所(NIFS)の大型ヘリカル装置(LHD)、ドイツはマックス・プランク・プラズマ物理研究所(IPP)のWendelstein 7-Xを通じ、世界有数の研究成果を積み重ねてきた。LHDでは約54分間のプラズマ維持も実現している。
共同宣言の3つのポイント
今回の共同趣意書では、3つの内容が盛り込まれている。
ひとつ目は、民間主導によるフュージョンエネルギー実用化の推進である。日独の研究機関が培った成果を基盤に、民間企業が開発・実証を推進し、将来の核融合発電所の建設・運転につなげることを目指す。
二つ目は、対話・協力の深化だ。日独双方の研究開発力と産業技術を生かして両社間の対話を深め、実用化と関連産業の発展に向けた協力機会を検討する。
最後は、関係機関・産業界との連携である。政府、研究機関、産業界、投資家に向けて民間主体が主導するヘリカル方式およびステラレーター方式によるフュージョンエネルギーの実用化について発信するほか、志を同じくする他の企業や研究機関との連携も探る。
ただし、今回の趣意書は両社の共通の意思を示すもので、法的拘束力はない。両社は技術・開発戦略の独立性を尊重し、具体的な技術協力や事業連携は必要に応じて個別に協議・合意するとしている。
ヘリカルフュージョンのヘリックス計画
ヘリカルフュージョンは2021年にNIFSの研究成果を活用してスピンアウトしたスタートアップ。日本独自の核融合炉形式である「ヘリカル方式」は、これまでの国立大学や公的研究機関における約70年にわたる研究開発の結果、商用発電所に求められる要件を備えやすい方式であることが評価されているそうで、同社はこの方式での核融合発電の実用化に向けたヘリックス計画を発表している。
同社の想定では、2020年代中をめどに高温超伝導マグネットなどの個別実証を終え、2030年代中には最終実証装置「Helix HARUKA」による統合実証と、発電初号機「Helix KANATA」による世界初の実用発電を達成する見込みだという。

2030年代に「実用発電」を計画する発電初号機「Helix KANATA」のイメージ。
現在、核融合科学研究所(岐阜県土岐市)の敷地内にあるHelical Fusion専用スペースにて、最終実証装置「Helix HARUKA」による高温超伝導マグネット実証に向けた製造・建設が進んでいるようだ。
フュージョンエネルギーは未来のエネルギー源として注目
世界の人口は2050年までに約17億人増えると予測され、生成AIの普及もあって電力需要は急増している。核融合エネルギーは海水などから採れる豊富な燃料を使う点やCO2を排出しないことから、世界的課題を解決する技術として期待され、核融合プラント建設・電力市場は、2050年までに世界で数百兆円規模へ成長するとの試算もある。
国内においても、政府が重点投資分野にも核融合を位置づけ、2030年代の発電実証を目指すロードマップを示し、官民投資が加速している状況だ。
国際的な開発競争が激しさを増すなか、日独の研究蓄積を民間の力で発電所につなげられるか。ヘリカルフュージョンとガウスフュージョンの動向は、核融合の商用化を占う試金石となるかもしれない。
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