文:スマートモビリティJP編集部
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日本人の若者3人が率いるスタートアップ「Zero Industries」が注目を集める
Zero Industriesは、CEOを16歳の杉原海氏、CTOを19歳の藤井佑成氏、COOを20歳の谷昊埜氏が務めるスタートアップだ。宇宙空間の電力インフラ構築という目標を掲げており、設立から6か月でプレシードラウンドにおいて300万米ドル(約4.7億円)の資金調達を完了した。

左から谷氏、杉原氏、藤井氏
本ラウンドでは前澤ファンドがリード投資家を務め、UntroD Capital Japan、NOW、Midtown、個人投資家らが参加。日本においてスタートアップが公表したプレシード調達の主要事例を対象とする同社調査によると、今回の調達額は比較対象の中で最高額となったようだ。
衛星向けレーザー送電サービス「Helios」とは
同社は、最初の事業として衛星向け送電サービス「Helios」に取り組む。これは、宇宙で発電した電力をレーザーで軌道上の衛星へ供給する仕組みで、送電衛星「Helios Beam」、受電モジュール「Helios Cell」、運用システム「Helios Grid」の3つで構成される。ちなみに、初期の供給先として、地球観測衛星、軌道間輸送機、衛星の点検・修理を担うサービス機などを想定しているという。

レーザー送電用の発電衛星のイメージ(CG)
現在の人工衛星は、主に機体に搭載した太陽電池パネルで電力を確保しているため、地球の影に入ると発電できず、蓄電池を搭載して電力を補う必要がある。しかし、外部から電力を供給できれば、衛星側が発電設備や蓄電池に割り当てる重量を減らし、観測機器、計算機、推進系などに重量を配分できるようになる。
同社は、数百km離れた衛星への送電や、1基の送電衛星から複数衛星への同時送電を設計要件として、送受電時の損失、設備重量、運用費用などを考慮し、衛星が自前で発電する場合と比較した経済的価値を検証する。
2030年の衛星間送電実現を目指し、大学との共同研究やベテランのアドバイザーの知見を活用
実行計画では、2026年秋から2027年春にかけて受電素子の評価やkm級の屋外送電実証を行い、軌道実証機の設計条件を確定する。2027年後半には軌道実証機の設計に着手し、2030年に初号機による衛星間送電を実証する。その結果を踏まえて商用の送電衛星を投入し、最初の顧客への供給を開始する予定である。
技術面では、光産業創成大学院大学(静岡県浜松市)の藤田和久研究室と、衛星向けレーザー無線電力伝送の共同研究を進めている。受電素子の評価や、大気中のレーザー伝送の評価、高出力レーザーの安全な運用手順の整備などに取り組む。アドバイザーには、三菱重工業やJAXA、スカパーJSATなどで宇宙開発に携わったベテランの専門家が名を連ね、無線電力伝送や衛星運用、宇宙政策の知見を事業に生かす体制を整えている。
地上発電をすべて代替する巨大インフラを構築し、銀河進出という最終目標も掲げる
Zero industriesは、衛星向け給電サービスに続く事業として、宇宙データセンター、軌道上の工場、月面拠点への電力供給を計画している。これは計算設備と発電設備を送電網で接続し、同社が発電設備の建設、供給能力の確保、送電管理を担うことで、宇宙データセンターの運営者が計算設備に集中できる環境を構築するというものだ。
また、宇宙の工場へ電力を供給し、月や小惑星などの資源を活用した生産体制の構築も目指す。発電設備から供給した電力で工場を稼働させ、その工場で次の発電設備や製造設備を生産する循環を想定している。

月面拠点への電力供給の構想イメージ。
さらに、長期計画では、2035年に地上での発電を不要にすること、2150年に太陽を囲む多数の発電設備で構成する「ダイソンスウォーム」を完成させることを目標に掲げる。最終的には、2150年以降ダイソンスウォームを量産し、事業領域を銀河へと拡大する構想も発表している。
※ダイソンスウォーム:恒星からの放射エネルギーを最大限に利用するために、恒星の周りに人工衛星を群れ(スウォーム)のように多数配置するという仮想上の巨大構造物。

ダイソンスウォームの構想イメージ(CG)
宇宙太陽光発電やレーザー送電の分野で、同社が日本発のエネルギーインフラ企業として存在感を高められるか、今後の動向に注目が集まる。
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