文:スマートモビリティJP編集部
▶▶▶写真はこちら|T2の自動運転トラック実証(画像6枚)
無人・有人運転の切替拠点「トランスゲート」の重要性
自動運転には、その自動化レベルに応じて区分があり、いわゆる完全自動運転は「レベル4」に相当する。高速道路などあらかじめ定められた特定の条件下において、運転席に人間が乗っていなくてもシステムがすべての運転操作を自動で行うため、無人運転が可能となる。
T2は、このレベル4自動運転トラックによる幹線輸送サービスの実現を目指すスタートアップで、高速道路を無人自動走行、一般道を有人手動走行という運用を想定してトラック開発を進めている。
2025年7月から関東-関西間のレベル2自動運転トラックによる商用運行を開始し、2026年3月には関東-関西間500kmの高速道路本線でドライバーの操作介入ゼロでの完走に成功、さらに同年5月には料金所の自動通行にも成功するなど、着実に自動運転可能な区間を拡大してきた。また、同時並行で高速道路の無人自動走行と一般道の有人手動走行を切り替えるための拠点「トランスゲート」も開設した。

IC外に設置した切替拠点「トランスゲート」で、一般道(有人)と高速道路(無人)をスイッチする。
このトランスゲートは高速ICの外、つまり一般道側にある施設なので、料金所からトランスゲートまでの区間は自動運転での運行が求められる。今回の実証実験では、この切替拠点-料金所通過-高速道路という行程の自動走行にチャレンジした。
一般道から高速道路の間を自動走行
実験は2026年9月中旬から公道で実施し、ドライバーの監視下で走行するレベル2の車両を使って、2つの行程を自動走行する形式で実施された。
綾瀬発:東名高速道路・綾瀬スマートIC(神奈川県)近くの「トランスゲート綾瀬」を出発し、一般道を通って同ICの料金所を通過し、高速道路に合流した。
西宮北:高速道路から中国自動車道・西宮北IC(兵庫県)の料金所を通過し、一般道を経て「トランスゲート西宮北」に到着した。

切替拠点「トランスゲート綾瀬」
高速道路の本線走行とは別の難しさが、拠点周辺にはある。出入り口の幅は約10mだが、トラックは全長約12mの大型車で、複数台の出入りも想定しなければならない。しかも、拠点と料金所を結ぶ一般道では、歩行者や自転車に遭遇する可能性もある。
そこで、T2は次の2点で対応した。
走行軌道の設計:大型トラック特有の内輪差やハンドル操作の限界を踏まえ、車体が道路の端や構造物から1m以上離れるよう、数センチ単位で軌道を設計した。
センサーによる認識:車載センサーで前方60mの範囲の対象を幅広く認識し、検知した場合は追従または停止する制御を取り入れた。
また、実験では、T2が独自開発したWEBアプリケーションを使い、スマートフォンから自動運転トラックに発車を指示するデモにも成功した。レベル4では、ドライバーが降車した後、切替拠点の作業員がこのアプリで無人のトラックを出発させる運用を想定しており、今回は作業員が発車を指示するまでの一連の動作も確認したようだ。

切替拠点からの出発にあたり作業員がスマートフォンから自動運転トラックに発車を指示する様子。
今回の実験の成功は、これまで成し遂げてきた「高速道路本線の完走」や「料金所の通行」とともに、レベル4に向けた自動運転技術の開発における重要なマイルストーンの達成となった。T2では、これらの新技術を実装した自動運転トラックを2027年1月から商用運行に順次導入する予定で、これに先立つ10月19〜20日、福山通運株式会社の便で車両を試験使用し、実際に荷物を運んでいる。
同社は今後、レベル4に向けて、車両故障や急激な悪天候の発生といった緊急事態に遭遇した際に無人のトラックを安全な場所へ退避させる技術を開発・実装するなど、いかなる状況でも安全を担保できる仕組みの構築を目指すとしている。
さらに、レベル4の幹線輸送サービスを実現させるため、切替拠点の作業員がスマートフォンで他の自動運転トラックの運行状況を確認できるようWEBアプリケーションに機能を追加するなど、オペレーションの具体化も加速させていく方針だ。
おすすめの関連記事
【関連記事】自動運転バスの現実に迫る取材記事
【関連記事】自動運航の旅客船はひと足先に実用化フェーズに突入
【関連記事】自動運航船に潜入してみた
【関連記事】原付ミニカー区分のスポーツカーが市販化へ






