2026年8月27日から9月9日にかけて、将来宇宙輸送システムは、再使用型ロケット向けエンジンの地上燃焼試験を実施した。試験では、出力を段階的に引き上げてECU制御や各部の設計妥当性を確認し、無事に出力60%相当での燃焼を達成。次は定格出力100%での燃焼試験に進むという。

文: スマートモビリティJP編集部
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再使用型ロケットを支える「低コストロケットエンジン」の開発試験

将来宇宙輸送システムは、国内ポンプメーカーと共同開発する電動ポンプを搭載した液体ロケットエンジンの燃焼試験を、2026年8月27日から9月9日にかけて実施した。電動ポンプを駆動した状態でのエンジン燃焼は、同社にとって初めてとなる。

従来のロケットエンジンのターボポンプは、ポンプ駆動用燃焼器で発生させた高温高圧のガスを使用してタービンを回転させ、その力でポンプを駆動するしくみである。そのため、主燃焼室・ポンプ駆動用燃焼室の双方に流量を制御しつつ燃料を供給する複雑な燃料供給システムや、高温のガスで駆動しつつ極低温の燃料を主燃焼室に送り込むポンプの熱対策・密封保持、複雑な燃焼システム全体の制御等の技術が必要となり、開発難度・期間・コストが増大する要因となってしまう。

将来宇宙輸送システムと荏原製作所は、この課題解決に向け、2024年9月に包括連携協定を締結し、荏原製作所が開発する電動ターボポンプの研究・開発を共同で推進してきた。

画像: 2026年1月に実施された電動ターボポンプ搭載ロケットエンジンの着火試験。

2026年1月に実施された電動ターボポンプ搭載ロケットエンジンの着火試験。

電動ターボポンプでは、バッテリーの電力でモーターを回転させポンプを駆動するので、燃料供給流路は主燃焼室への一系統に集約され、加えてポンプの動力源も燃焼器から電動モーターに置き換わり、燃焼サイクルが簡素化され、容易に制御可能になる。加えて、動力部と通液部の温度差も低減されるため、熱対策や密封保持の設計難度が緩和されることになり、結果として開発難度・開発期間・コストの低減を実現できる。

試験は、着火後にポンプの回転数を引き上げ、安定した燃焼を維持しながら出力を高める制御方法の確立を目的に実施。出力を20%、40%、60%と段階的に引き上げ、各試験で得られたデータを基に次の試験条件を設定しながら進めた。

同社は、今回の試験により定格出力まで引き上げるための制御設定を明確化できたことから、次はいよいよ定格出力での燃焼試験に挑むとしている。再使用型ロケット実現に向けた低コストエンジンの開発がこのまま順調に推移するのか、今後の展開にも要注目だ。

画像: 北海道スペースポートからの打ち上げが検討されているロケット「ASCA 1.2」のイメージ。

北海道スペースポートからの打ち上げが検討されているロケット「ASCA 1.2」のイメージ。

試験の主な成果

・将来宇宙輸送システム初となる、電動ポンプによるエンジンの燃焼を実現
・電動ポンプならではの高い制御性を活かし、様々な条件下で出力を定格まで引き上げていくための設定を明確化
・出力を20%、40%と段階的に引き上げ、これまでの試験で最大となる出力60%相当での燃焼に成功
・自社開発のエンジン制御ユニット(ECU)による燃焼制御に成功
・開発した噴射器・燃焼器に溶損は確認されず、エンジン各部の温度・圧力等の状態量についても設計通りの挙動を確認

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