ゲーミングPCの「冷やす技術」が切り拓いた、EV充電事業への道

台湾・新北市に本社を構えるMSI。1986年にPCパーツメーカーとして創業した同社は、現在ではアジア、米州、欧州、アフリカなど、世界130超の国と地域に販路を広げるグローバル企業へと成長を遂げている
MSIは1986年、PC用のマザーボードやグラフィックカードを製造するパーツメーカーとして起業した。創立40年目を迎えた2025年度の年商は73.8億米ドル、世界130カ国に製品を提供するグローバルブランドへと飛躍を遂げた。そんなMSIを世界的企業へと押し上げる事になった最大のファクターが、ゲーミングPC市場への参入だ。

ゲームカルチャーの浸透とともに、市場の裾野を大きく広げるゲーミングPC。市場の成長に伴って販路は大手家電量販店へと波及し、今や店内に専用コーナーが展開される風景もすっかり定着している
現在、全世界のプレイ人口が9〜10億人とも言われるゲーミングPC市場。かつては一部のコアなゲームファン向けのものであったゲーミングPCは、徐々に一般層にも認知されてきており、その市場の裾野を拡大している。
ゲーミングPC市場において、MSIは2006年に世界初となるゲーミングノートPCを発表し、2010年頃より本格的に参入。以降その製品ラインアップを拡充し、現在は世界でも三指に入るトップメーカーの一角として君臨している。特にゲーミングノートPCの領域においては、長年にわたり世界トップクラスの地位を維持し続けている。
家庭用ゲーム機やスマートフォンでのプレイに比べ、ゲーミングPCで展開されるゲームの世界は極めてシビアであるという。一瞬の判断やコンマ数ミリ秒の操作の遅れがゲームの局面、ときには勝敗をも左右するため、それを司るPC本体に卓越した処理能力と高い精度の動きが要求される。
そんな世界において、MSIが多くのプレイヤーから支持を受け続けている背景には、長年にわたり培ってきた独自の「冷却設計技術」がある。PCを高負荷な状態で長時間稼働させ続けると機器の温度が上昇し、その過熱状態が処理性能の低下を招いてプレイに大きな悪影響を与えてしまう。
つまり、ゲーミングPCが長時間のプレイに耐えうるには、卓越した冷却機能を併せ持つことが不可欠であり、そこに独自の「冷却設計技術」を持つMSIが、トップメーカーとしての地位を獲得している所以がある。
かたやEV充電においても、取り扱う電力が高くなるにつれ、優れた冷却機能が不可欠となる点は共通しており、MSIがEV充電市場に参入する素地は、コア事業であるゲーミングPCによってすでに整っていた、といえる。
