元青汁王子の会社が配達業務用バイクを開発
近年、ガソリン価格の不安定化や原付一種ガソリン車の新車供給停止を背景に、配達業務の現場では電動バイクに置き換える事例が増えてきているが、既存の電動バイクでは航続距離や積載性の面で業務利用に十分対応できないケースも多い。
三崎優太氏が代表を務める三崎未来電子は、こうした現場の課題を解決する原付一種区分の電動バイク「L-noa」を開発し、2026年5月19日に発売した。三崎氏は青汁のネット通販をはじめとするweb事業を成功させたことで知られ、青汁王子(現在は元青汁王子)とも呼ばれる人物だ。

車体カラーは、アーバンレッド、ゴールデンイエロー、ピュアホワイト、スレートグレーの4色展開。
車種名の「L-noa」には、物流(Logistics)、長距離走行性能(Long ride)、積載能力(Large capacity)を意味する「L」と、「自由」という思いを込めた「noa」が組み合わされている。三崎未来電子は、この電動バイクを通じて新聞配達やデリバリー業務を支援し、法人向けのラストワンマイル業務に新たな選択肢を提供するとしている。
その特長は、業務利用に特化した車体設計にある。インホイールモーターを採用してスムーズな加速を実現したほか、大きなハンドル切角を備えて狭い道や駐輪スペースでの取り回しを容易にしている。また、ヘッドライトとは別に前カゴを照らす手元ライトを採用することで、積荷を確認しやすい仕様としている。動力源には安全性と耐久性の高さで知られるリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用しており、業務における日常的な使用に対応している。

手元ライトにより早朝の暗闇でもフロントバスケットの積荷を確認できる。
充電方式は家庭用100Vコンセントで、専用の大型充電設備を必要としない。充電残量0%から100%までにかかる充電時間は約7時間であり、また一満充電での航続距離を約155kmと、長距離移動をも可能にしているため電欠による業務中断を抑えることができる。
フル電動車のためエンジン音や排出ガスはなく、無音で動作する静音ウインカーや動作音を抑えたサイドスタンドなども搭載。深夜や早朝の業務において、近隣環境に配慮した運用をできる仕様としている。
大容量フロントバスケットやリアキャリア、フットブレーキ、手元ライト、大型LEDヘッドライト、液晶メーター、USB電源ポートなど、業務に役立つ機能を標準装備している。ボディカラーとしてピュアホワイト、アーバンレッド、ゴールデンイエロー、スレートグレーの4色が展開され、車両価格は67万円(補助金未対応)に設定されている。
静音設計とリバース走行機能が便利
「L-noa」は日本新聞協会の協力のもと、実際の新聞販売店員によるフィードバックを受けながら車体開発が行なわれ、日常の配達業務に特化した車両に仕上げられている。ポップなボディカラーを用意するという特長はあるものの、デザインや機能、性能など多くの面においてシンプルでオーソドックス、それでいて使いやすさに特化した業務用バイクという印象を受けた。

車体形状はオーソドックスな業務用バイクだ。
実際にまたがってみると、シートは幅広タイプでクッション性があり、業務利用で1日中乗車していても腰が痛くなりにくそうである。
一般的なバイク(スクータータイプ)のブレーキレバーは右手側で前輪を、左手側で後輪のブレーキをかける仕組みになっているが、L-noaのブレーキレバーは右手側のみに装着されて前後輪両方にブレーキをかけるシステムを採用している。右足で踏むフットブレーキと合わせて、右半身でブレーキ操作、左手は荷物を動かすという運用を想定した車体設計となっているようだ。

新聞配達時に便利なフットブレーキも標準装備している。
また、フロントバスケットを照らす手元ライトやUSBタイプA、タイプC両方を搭載したUSBポートなど、実際の配達現場で役立ちそうな機能を搭載している。こうした便利機能を標準装備している点は、他メーカーとの差別化要素といえるかもしれない。

車体の右側にUSBポート(タイプA、タイプC)があり、電熱グローブやスマートフォン充電など多用途に活用できるようになっている。
もっとも重要ともいえる走行性能は、ライダーの運転操作に対して比較的リニアに反応するため操縦しやすい印象だ。
スロットルレスポンスは良好で、アクセル操作を始めるとすぐに車両が動き始める。逆にスロットルを緩めるとエンジンブレーキのように回生ブレーキがすぐにかかる設定になっており、ある程度までは回生ブレーキで減速するので、そこから手元もしくは足元のブレーキを少しかければ簡単に停止できる。この回生ブレーキの存在はブレーキパッドやディスクなどの消耗を抑えることにつながり、ランニングコスト削減にもなるはずだ。ハンドリングにも気になるクセはなく、128kgという車両重量と低重心設計の組み合わせにより、小まわり走行時も安定感がある。総じて、扱いやすい操縦特性であると言えるだろう。

運転特性のクセが少ないので、エンジン搭載バイクからの乗り換えでもすぐに運転感覚に慣れるだろう。
ちなみに、右手手元にある赤い「R」ボタンを押しながらスロットルをひねると、最高3km/hでバック走行できる後退機能を搭載している。バイクの取り回しに不安がある人であっても狭い場所での切り返しを容易にしてくれるこの機能は、エンジン車のバイクにないアドバンテージだ。

赤いRボタンを押しながらスロットルをひねることでバック走行可能だ。
さらに、ウインカーを作動させた時にチカチカと音を一切出ないことは、静粛性が求められる配達バイクにとって地味ながら大きなポイントではないだろうか。
導入後のメインテナンスについて、各部のパーツ類はホームセンターで販売されているような一般的な工具で交換できるため、三崎未来電子に破損部品の交換パーツを発注し、各導入事業者自身で交換作業を行うことになるという。一方でパワートレーンやブレーキなどの重要部品は、当面の間、三崎未来電子が直接車両を引き取って修理対応するようだ。
業務用バイクということを考えれば、すぐに修理対応してくれることも重要である。今後は、サービス・メインテナンス拠点を速やかに整備することが求められるだろう。
【L-noa 主要諸元】
全長×全幅×全高 :1940×665×1090mm
シート高 :730mm
重量 :128kg
ブレーキ :前後ディスクブレーキ
バッテリー :リン酸鉄リチウムイオン(3.99kWh)
モーター定格出力 :580W
航続距離 :155km(30km/h予測値)
充電時間 :7時間
タイヤサイズ :前110/70-12 47P(175kPa)、後130/70-13 57S(225kPa)
防水性能 :IP65
本体価格 :67万円
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