2026年3月27日、宇宙スタートアップのispaceは月面探査ミッションの改善策、次世代着陸船の導入、および新たな事業構想について発表した。

ミッション2の失敗分析と「7つの提言」

ispaceは、2025年6月に実施したミッション2の軟着陸未達を受け、第三者専門家による「改善タスクフォース」の検討結果を公表した。マサチューセッツ工科大学や慶應義塾大学の教授らが共同議長を務めた同タスクフォースは、運用、システム開発、経営判断の3つの観点から「7つの提言」をまとめた。

提言には、JAXAの月着陸実証機SLIMの知見を活用した「地形相対航法(TRN)」の導入や、試験リソースの増強、ispaceと米ドレイパー社間の連携改善などが盛り込まれている。これを受け、ispaceは「技術リスク評価委員会」を新設し、経営判断の透明性と高度化を図る方針だ。

【提言概要】
運用レベル
(1)地形相対航法(Terrain Relative Navigation:TRN)の導入
(2)着陸運用時の残燃料の活用
システム開発レベル
(3)ベンダー選定プロセスの改善
(4)試験に割り当てるプロジェクト・リソースの増強
(5)故障検出・隔離・回復(Fault, Detection, Isolation, and Recovery)の設計と検証
経営判断レベル
(6)ispaceとドレイパー社間の連携の改善
(7)企業のリスク管理アプローチ強化

次世代ランダー「ULTRA」とミッション計画の刷新

技術面での大きな転換点として、日米で個別に開発されていたランダー(月着陸船)モデルを統合し、新モデル「ULTRA」を導入することが発表された。米国拠点が開発していたエンジンの遅延や、世界的な月面開発需要の高まりを受け、開発効率と品質の向上を狙う。

具体的には、これまで日米それぞれに分かれていたランダー前工程担当の開発グループをひとつに集約し、開発予算およびスケジュールの統制強化を進める。さらに、将来を見据えた先端技術の研究開発機能や、サプライヤーからの調達機能についても、統一していく方針だ。

一方で、各国の主要顧客ニーズに最大限柔軟に対応するため、ランダー製造の後工程となる組立・製造・試験機能を担うグループについては、日本および米国の各拠点に引き続き設置し、改善タスクフォースからの提言を踏まえ拡充を予定している試験人員ついても、日米両拠点において整備を進めるとしている。

画像: ミッションの実施計画が変更された。

ミッションの実施計画が変更された。

このモデル統合とエンジン変更にともない、ミッションスケジュールも再設定された。NASAのプログラムに採択されている米国主導のミッション(旧ミッション3)は2030年へと延期され、新たに「ミッション5」と呼称される。一方で、日本拠点が主導するミッション(旧ミッション4)は「新ミッション3」として引き続き2028年の打ち上げを目指す。

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