2026年2月16日、大林組、岩谷産業、小松製作所(コマツ)の3社は、燃料電池システムを搭載した中型油圧ショベルの実証実験を2025年12月に実施したことを公表。従来のディーゼルエンジン駆動式と同等の性能や、環境負荷の低減を確認できた一方で、水素供給・充填方法の課題も明確化されたという。

中・大型建機は水素をエネルギー源とする電動化が最適

日本国内の建設現場におけるCO2総排出量は、軽油に由来する燃料で約7割を占められており、バイオディーゼル燃料の採用や電動式建設機械がCO2排出削減のひとつの手段になるのではないかと期待・検討されている。

小型の建設機械のジャンルではバッテリー搭載による電動化が進んでいるものの、中・大型の建設機械はエネルギーを大量に消費するため、巨大なバッテリーを搭載するか、よりエネルギー密度の高い代替動力源が必要だとされている。

そこで建機メーカーのコマツは、バッテリーよりもエネルギー密度が高く 、バッテリーの充電よりも短時間でエネルギー源を充填できる燃料電池システムが、中・大型の建設機械に適していると判断。2023年には、同社の中型油圧ショベルをベースにトヨタ製の燃料電池システムと水素タンクを搭載したコンセプトマシン、FC(Fuel Cell:燃料電池)ショベルの開発に成功した。

画像: 水素燃料電池を搭載した中型油圧ショベルのコンセプトマシン。

水素燃料電池を搭載した中型油圧ショベルのコンセプトマシン。

以来、実証実験を重ねた結果、ディーゼルエンジンモデルと同等の掘削性能や操作性を持ち、排出ガスゼロや騒音・振動の低減を実現する一方で、実作業環境での性能検証の実施や水素充填方式の確立が課題として浮かび上がっていたという。

こうした背景を踏まえ、大林組、岩谷産業、コマツの3社は、実際の建設現場における検証を開始。2025年12月10日から12月23日の期間、東日本高速道路関東支社長野工事事務所の協力のもと、FCショベルによる掘削残土の移動作業と車載水素タンクへの水素充填の実証実験を実施した。

同実験の結果、FCショベルが従来のディーゼルエンジン駆動式と同等の作業性能を発揮することを確認したほか、エンジンを搭載しないため振動に由来するオペレーターの疲労を軽減できたこと、騒音の抑制による現場環境の良化、周囲の状況把握を容易にしたことによる安全性の向上といったメリットも明らかになった。

他方で、より大容量かつ高速な水素供給・充填の必要性など、実用化に向けた新たな課題も共有された。さらに、工事進行に伴う現場の状況変化に対応するため、水素充填の法規制を踏まえた安全かつ効率的な運用方法も明確になったという。

今回の実証成果は、燃料電池システムを搭載する建設機械の開発や移動式水素充填システムの検討、導入現場の選定や運用基準の形成に活用される見通しだ。3社は、建設現場におけるCO2排出量削減に向けた取り組みを進めるとともに、関係機関との連携を通じて安全で効率的な運用環境を整備し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献するとしている。

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