1年間で18都道府県から47都道府県へ拡大
Uberは、ドライバーと乗客をオンデマンドでつなぐ配車プラットフォームを世界70カ国・1万都市以上で提供する米国発のテクノロジー企業である。日本では、Uber Japanが国内500社以上のタクシー会社と提携し、タクシーを配車できるスマートフォンアプリ「Uber Taxi」を展開している。

「Uber Taxi」は、Uber Japanがタクシー会社との提携で提供されるタクシーの配車サービス。
2018年に配車サービスを本格始動した「Uber Taxi」は、2025年1月時点でサービス提供エリアを18都道府県にまで拡大していたが、実は直近の1年という短期間でさらにおおきく拡大。2025年12月1日には、新たに富山県、和歌山県、三重県、鳥取県、山口県、宮崎県の6県を加えて、また12月15日には岩手県と佐賀県の2県でサービス提供を開始する。これによりUber Taxiは全47都道府県でのサービス展開を達成し、晴れて「全国展開」を実現したことになる。
短期間でのサービス提供エリア拡大の背景
ここまで急速に拡大した背景について、以下の3つの要因があると同社は分析する。
電脳交通とのサービス連携
Uber Japanは2025年2月、株式会社電脳交通(以下、電脳交通)と戦略的パートナーシップを締結。電脳交通のクラウド型タクシー配車システム「DS」との連携により、DSを利用するタクシー事業者・乗務員は、DS端末を通じてUber Taxiの配車依頼を受けることができるようになった。
全国2万2000台のタクシーに導入されているDSとの連携により、Uber Taxiに対応する車両数・対象エリアは大幅に拡大している。
事業者に支持される導入メリットの拡大
Uberが提供する月額サービス「Uber One」では、Uber Eatsの配達手数料が無料になるほか、Uberの乗車料金の10%相当の「Uber Oneクレジット」が貯まり、タクシーやハイヤーの配車サービスもお得に利用できる。
またUberアプリは、世界70カ国以上・約50言語に対応した、インバウンド対応に優れた配車アプリで、訪日外国人が全国各地へ足を運ぶ中でUberアプリを利用しており、タクシー事業者が効率的かつスムーズにインバウンド需要を取り込める点も、大きな導入メリットとなっているようだ。
Uber Taxiの認知拡大
Uber Japanは2025年9月、著名俳優を起用した新CMを発表し、関東を中心とした主要都市でテレビ・デジタル広告を展開した。
さらに、2024年12月には13〜17歳の子どもが保護者の管理下でタクシーを呼べる「Uber Teens」を、また2025年7月には高齢者向けに機能をシンプル化した「Uberシニア」の提供を開始。ジュニア層からシニア層まで幅広い世代をカバーするサービスを相次いで導入することで、より多くのユーザーにとって使いやすく、そして安心して利用できる配車アプリに進化したことも、全国的な認知の広がりにつながった。
今後の展開
Uber Japanは全国47都道府県展開に続いて、オセアニアや北米など世界中から観光客が訪れる国際的リゾート地、北海道ニセコ町・倶知安町(くっちゃんちょう)でも12月中にUber Taxiのサービスをスタートする予定。言語や決済のハードルを下げ、スムーズなインバウンド移動・対応を支援するという。
さらに12月1日から、長野県野沢温泉村を中心とするエリアで「公共ライドシェア」の運行支援にも乗り出す。公共ライドシェアは、自治体やNPOなどが運行主体となり、交通空白地で住民や観光客の移動手段を確保する制度。地域住民が自家用車で移動を担うことで、不足するタクシーやバスなどの公共交通を補完し、地域のラストワンマイルの移動を支える。
Uber Japan代表の山中志郎氏は、全国展開の達成について「全国のタクシー事業者や電脳交通、自治体の協力があってこそ実現できた」と述べた。また、公共ライドシェアの支援についても「地域住民が主体となる取り組みに参画できることを光栄に思う」とし、今後も地域の交通課題に寄り添いながらサービスの改善と拡大に努める考えを示した。
【Uber Taxi新規展開エリア】
12月1日 提供開始
・富山県:富山市(旧大沢野町・旧大山町区域を含む)
・和歌山県:和歌山市
・三重県:四日市市
・鳥取県:米子市
・山口県:山口市、下関市
・宮崎県:宮崎市
12月15日 提供開始
・岩手県:盛岡市(※旧玉山村区域を除く)
・佐賀県:吉野ヶ里町
12月中 提供開始
・北海道:ニセコ町、倶知安町、喜茂別町、京極町
・鳥取県:鳥取市、岩美町

