2025年11月21日、川崎重工業は九州郵船と鉄道建設・運輸施設整備支援機構との共同発注により、「川崎ジェットフォイル」1隻の造船契約を締結したと発表した。同船は神戸工場で建造され、2029年6月に引き渡された後、博多と壱岐・対馬航路の旅客輸送に投入される予定だ。

川崎重工製としては17隻目の建造

「川崎ジェットフォイル」は、川崎重工業が、旅客機製造で知られる米国のボーイング社から製造・販売権を受けて建造している水中翼船。

水中翼船とは、スピードが遅いときは普通の船と同様に浮力で浮いているが、高速域では船体の下にある水中翼から得られる揚力を利用して船体を持ち上げることで水の抗力(抵抗)を減らして進む船のことである。

ジェットフォイルは水中翼のすべてが水面下にある全没翼型水中翼船で、高速性と乗り心地を両立。2基のガスタービンエンジンで駆動されるウォータージェット推進機から毎秒3トンの海水を噴射して前進し、前後2枚の水中翼に発生する揚力で海面から浮上することで最高速80km/h以上の超高速での航走を実現している。

こうした高速航空航行時に旋回するようなときは、航空機やバイクなどと同様に船体を内側に傾斜させることでスムーズに旋回可能である。また、波高3.5mの荒波でも安定した航走できる。

今回の受注では運行実績のある現行デザインを踏襲し、確立された性能を維持しつつも、新型のガスタービンエンジンの搭載や、安全性向上を目指した新しい客席レイアウトが採用されるという。

計画では川崎重工の神戸工場で建造され、2029年6月に引き渡された後、博多と壱岐・対馬航路の旅客輸送に投入される予定だ。

画像: 新型ガスタービンエンジン「VERICOR TF50B」

新型ガスタービンエンジン「VERICOR TF50B」

【川崎ジェットフォイル 主要諸元】
全長:27.4m(水中翼を下げた状態)
型幅:8.5m
エンジン: VERICOR TF50B × 2基
航海速力: 43ノット
旅客定員: 252名

This article is a sponsored article by
''.