日本でもアルコール・インターロックの制度化が進むか
日本では、事業用のクルマ(緑ナンバー・黒ナンバー)の運転者に対するアルコールチェックは義務化されていたものの、営業車や社用車、公用車などの自家用(白ナンバー)車については近年まで対象外とされてきた。
しかし、2021年に千葉県八街市で発生した白ナンバートラックによる飲酒運転事故を契機に、道路交通法施行規則が改正。一定規模以上の事業所では白ナンバー車の運転者にもアルコール検査が義務付けられることになった。
にもかかわらず、この制度が導入されたあとも大手運送業者で飲酒運転が発覚。酒気帯び確認だけでなく、アルコールを摂取したらエンジンをかけられないシステム「呼気吹き込み式アルコール・インターロック装置(アルコール・インターロック)」の搭載を求める声が多く集まっていた。
米国や欧州、台湾や韓国などの諸外国においては、主に飲酒運転違反者の車両に対するアルコール・インターロック搭載の義務化が進んでおり、再犯をある程度抑えることに成功しているようだ。

アルコール・インターロックシステムの流れ。
そんな中、車両の遠隔起動制御システムを活用したサービスを提供するスタートアップの「GMS」は、岐阜市と連携して岐阜市所有の公用車6台に対して社用車管理システム「Bqey(ビーキー)」を活用したアルコール・インターロック機能を搭載。1カ月間の実証実験を実施する。
同社はスタートアップとはいえ、国内やASEAN諸国で車両盗難防止サービス、飲酒運転防止サービスなどを展開し、システム導入車両の総走行距離はすでに12億kmを突破しているという。今回の岐阜市での取り組みを皮切りに、全国の自治体・企業への展開を推進し、個人の意識や企業努力に委ねるのではなく「飲んだら乗れない」を社会全体の常識として根づかせ、安全・安心なモビリティ社会の実現に取り組むとしている。
この実証実験の結果を踏まえ、日本国内でもアルコール・インターロック搭載の流れが広まり、普及していくことになるのか。続報にも注目したい。
【今回導入された「アルコール・インターロック」システムの詳細】
Global Mobility Serviceの車両の遠隔起動制御IoTデバイス「MCCS」、東海理化の社用車管理システム「Bqey」、大日本印刷のデジタルキー技術が組み合わせて誕生したシステム。運転者の呼気からアルコールを検知した場合に車両の起動を遠隔で制御するシステムであり、社用車に搭載することで業務中の飲酒運転を防止できる。




