eVTOLの次は「空飛ぶバイク」？ 最高速200km／hの「Volonaut Airbike」は究極のパーソナルモビリティか

最高速200km／hの空飛ぶスーパーバイクが正式発表

空飛ぶクルマ＝eVTOLの社会実装が始まろうとしているが、そのほとんどは複数のモーターとプロペラによって推進力を得て、パイロットが操縦するエアタクシーだ。プロペラが存在する以上、機体の小型化には限界もある。また、現時点では決まった航路を運航することしかできない。

去る4月30日、Volonaut社が発表したパーソナルエアモビリティ「Airbike」は、eVTOLよりはるかに小さい。バイクや自転車のようなひとり乗りのミニマムモビリティであり、プロペラではなくジェットエンジンで航行するところがユニークだ。

Airbikeを開発したトマシュ・パタン氏は、2022年にひとり乗りeVTOLの「Jetson One」の発売を成功させた業界の有名人。Jetson Oneは発売以来、1300万円を超える価格ながら大人気となり、大量のバックオーダーを抱えているという（いま発注しても、納車は2027年以降）。もっとも、パーソナルユースとは言え4つのモーターとプロペラを搭載しているので、それなりの大きさではあるが（それでも一般的なeVTOLエアタクシーに比べてはるかに小型だ）。

「すべての人をパイロットに」という目標を掲げるトマシュ・パタン氏がたどり着いた結論はeVTOLではなく、プロペラをジェットエンジンに置き換えること。さらにコクピットを排すことで、バイクよりもコンパクトで、周囲360度の視界を提供するユニークなミニマムモビリティを実現することだった。その後に公開したAirbikeのライディングポジションは、まさにバイクだ。

Volonaut社のホームページによれば、その最高時速は200km／hに達するという。カーボンファイバーと3Dプリントパーツによって構成される車体の重量は、一般的なバイクの7分の1しかない。翼やコクピットさえないコンパクトボディゆえに、林道や狭い峡谷などあらゆるエリアを自由に移動することが可能になる。

また、フライトコンピュータによる統合制御で、自動でホバリングすることもできるという。さらにいえば減速時、バイクのようにテールライトが赤く点灯して周囲を航行する航空機やeVTOLに減速中であることを知らせる機能も持ち合わせている。

操縦もまた、バイクそのもの。左右ハンドル部のジョイスティックレバーと身体の重心移動によって、スムーズに旋回、加減速、そして停車することができるようだ。

そのほか詳細は追って公開していくとのことだが、公式サイトにアップされた3本のデモ動画がすでに大きな反響を得ている。一部の視聴者はAIを使ったギミックなのではないかと信憑性を疑っているものの、トマシュ・パタン氏は「可能な限りリアルで、トリックはなく、AIのビットもない」と語り、「優れたカメラとFPVドローンオペレーター」を持っているだけだと語っている。

Volonautの公式サイトには3本動画がアップされている。百聞は一見に如かず、まずは以下のリンクからその不思議な光景を確認していただきたい。

Airbike9