2025年春、三菱重工グループの三菱重工交通・建設エンジニアリング(MHI-TC)は、旅客搭乗橋(PBB)の「完全自動装着システム」を販売開始する。成田国際空港と共同開発し、日本航空が全面協力している。

空港ビルと旅客機を接続する「ボーディングブリッジ」が自動化

旅客搭乗橋(PBB:パッセンジャー・ボーディング・ブリッジ)は、空港ターミナルビルと旅客機との間にかけられる可動橋のこと。旅客機に乗客や乗員を乗降させるための地上設備で、伸縮式歩道橋を支えるように先端下部に設けられた駆動輪(タイヤ)により橋を移動・旅客機に接続するもの。

実は従来のボーディングブリッジでも自動装着システムは導入されていたものの「完全自動化」ではなく、航空機手前10cmまでは自動でそこから先の装着作業はオペレーターが手動で操作する「一部自動化」だった。

そうした中、三菱重工交通・建設エンジニアリングは、成田国際空港と共同で「完全自動装着システム」を開発。同空港の第2旅客ターミナル67番搭乗口にて2021年から約4年間をかけて実証を行ってきた。

画像: 成田国際空港第2旅客ターミナル 67番搭乗口にある2本のボーディングブリッジで実証が行われてきた。

成田国際空港第2旅客ターミナル 67番搭乗口にある2本のボーディングブリッジで実証が行われてきた。

同システムでは移動から接続まですべての装着作業が完全自動化されており、以下の3つの機能が進化している。

①オートドッキング機能 (自動装着機能)
ボーディングブリッジ先端キャブ部(Cab)にある操作盤からワンプッシュの操作で航空機ドアを検出し走行。キャブの高さや航空機との接続角度を全自動で調整しながら接触、クロージャ―と航空機昇降検知センサーを装着するまで完全自動化した機能。

画像: オートドッキング機能

オートドッキング機能

②ツインオートドッキング機能(2基連動同時自動装着機能)
ボーディングブリッジを2基同時に設置する場合に、1基をワンプッシュ操作すれば、もう1基が連動して航空機に自動装着される機能。無人で運行することになる片方のボーディングブリッジの映像は、作業員のいるボーディングブリッジに表示されて自動装着の状況を確認できるようになっている。

画像: ツインオートドッキング機能( 2基連動同時自動装着機能)

ツインオートドッキング機能( 2基連動同時自動装着機能)

③リモートドッキング機能(遠隔操作装着機能)
航空機が駐機するするエリア「エプロン」からタブレットを用いて、遠隔操作でボーディングブリッジを航空機に装着できる機能。

画像: リモートドッキング機能(遠隔操作装着機能)

リモートドッキング機能(遠隔操作装着機能)

近年日本では訪日外国人観光客の数が急増しており、グランドハンドリング(空港スタッフの地上業務)への負荷も増大している。その一方で、グランドハンドリングスタッフの不足が全国の空港で深刻化しており、大きな課題となっている。

今回販売が開始されるボーディングブリッジの完全自動装着システムは、無人化・省人化を実現するもので、グランドハンドリングの負担軽減にもつながる。

同社は、次世代を見据えた空港内作業の高度化・効率化を支援し、交通インフラの円滑な運行に引き続き貢献していくとしている。

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