2024年10月15日、電動車椅子を開発/製造するWHILL株式会社は「ジャパンモビリティショー ビズウィーク2024」に出展。電動車椅子「ウィル モデルC2(WHILL Model C2)」の基本機能であるオムニホイールを「ロボット台車」や「オムニプラットフォーム」など荷物を運ぶ台車に活用して、新たな事業として展開する。

縦横無尽に動き回ることができるオムニホイールが配送でも活躍

歩道を6km/h以下で走行できる電動モビリティ、電動車椅子やシニアカーを開発・販売するWHILL。そのラインナップの中でも電動車椅子のモデルC2は、斬新でシンプルなデザインにより注目を集め、また空港や大型ショッピングモール、美術館や博物館など長い距離を歩かなくてはならない施設に、移動を補助するモビリティとして配置されて外出先で目にする機会も多い。

このモデルC2最大の特長は最小回転半径の小ささで数字にして760mm、手元のレバーを横にスライド操作すると、まるでその場でクルッとUターンできてしまうような感覚。この特性を支える技術は前輪に採用されているオムニホイールで、タイヤの円周を10個の筒状ゴムですき間なく覆い、路面に接地する部分が横方向に回転(駆動)することで後輪を軸に方向転換できる。この機能は前述したような施設の中を走行するときに大きなメリットとなる。

画像: 一般的な電動車イスよりも大きなサイズのタイヤ、そして横方向に回転するオムニホイールにより機動力を高められている。

一般的な電動車イスよりも大きなサイズのタイヤ、そして横方向に回転するオムニホイールにより機動力を高められている。

このモデルC2のように、従来、人の移動をサポートするモビリティを展開してきたWHILLだが、実は物流の分野に事業を拡大している。コアになる技術は同様にオムニホイールで、2024年に入ってから販売を開始した「ロボット台車」と「オムニプラットフォーム」のいずれにも採用されている。

前者はモデルC2のベースとなる前後タイヤやモーターなどの技術を流用しつつ、荷物を運搬するためのフレームで構成される。この状態で販売され、そののち用途に合わせた架装が施されて稼働することになる。

荷台を装着しての配送ロボットだけでなく、ROS/Python/Arduinoといった通信機能を持つためカメラを搭載して遠隔操作による警備ロボットにもなる。こうした屋内での活動性に加えて、路面に凹凸のある屋外での走行性能も併せ持つという。

そもそも四輪独立サスペンションと直径260mm前後のタイヤを装着することにより約50mmの段差を越えられる上に、カスタマイズで4WDとすることで駆動力の強化とともに走行安定性も高められる。カスタムの自由度と汎用性の高さ、コストパフォーマンスにも優れたモデルといえそうだ。

画像: 2024年1月に販売を開始したロボット台車(左)とオムニプラットフォーム。こうしたロボットのニーズは高まっているという。

2024年1月に販売を開始したロボット台車(左)とオムニプラットフォーム。こうしたロボットのニーズは高まっているという。

もうひとつのオムニプラットフォームは、八角柱のフレームの四隅にオムニホイールをそれぞれ配置するモデル。全方向への平行移動や定位置での回転など、移動の自由度をさらに高められている。狭い場所での運搬ロボットとして活躍するほかにも、スムーズな動きを可能にする特性から劇場での大道具として採用されたこともあるという。

一般のひとの目に届く電動車椅子やシニアカーだけでなく、今後製造業や物流を裏で支える機器としても、オムニホイールが活躍していくのだろう。

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