※本記事に掲載しているすべての写真は、ICOMAの原付一種「タタメルバイク」
景観ミスマッチをさせないシェアサービス誕生か
原付一種の電動バイクはもちろんのこと、最近ラインアップを増やしてきたバイクタイプ(着座式)の特定小型原付も、自転車のように折り畳みできないモデルが多くて収納スペースの確保に困る、という声がある。そうした中、盗難やイタズラの防止、風雨を避けるため屋内保管するユーザーから、関心を集めているのがその名のとおりの「タタメルバイク」だ。
前輪と後輪、ハンドルとサドル、ステップなどに可動式収納機能を持たせることでスーツケースと同等のサイズ感、全長690×全幅260×全高690mmにトランスフォームできるというもの。直線的なデザインや小ささ、ボディ側面のスクエアパネルを交換することで容易に模様替えできるファッション性も相まって、注目を集めている。
稼働部分はすべて手動で、収納形状と走行形状を切り替える作業をしていると金属音がガチャンガッチャンと聞こえるところもガジェット感を演出する要素になっている。まるで始動のための儀式を行なっているような、昭和のミニバイクに乗るかのようなワクワク感がある。
その反面で、形状の切り替えをもっと楽にしたい、小さく軽くしてほしいという要望もあったという。タタメルバイクは2024年5月に先行販売を開始したばかりではあるが、こうした要素を盛り込んだ新型「tatamo!(以下、タタモ!)」の開発をすでに始めており、その試作車がジャパンモビリティショー ビズウィーク2024に展示されていた。
原付一種のタタメルバイクと違って、タタモ!は特定小型原付。その外観はタタメルバイクと同様にスクエアな印象があるボディパネルで構成されているが、少しコンパクトになっているようだ。スイッチひとつの操作で前後車輪とサドルを展開するアクチュエーターを搭載して、形状変化を手軽にしている。小さなモーター音とともに各部が展開していく様子はかわいらしさもあって見る楽しさもある。
スペックを見て驚いたのが車両重量で、63kgあるタタメルバイクのおよそ半分にあたる30kgに抑えられていること。小型化だけでなく、ボディを構成する素材やバッテリーの種類を変更することで軽量化に成功したのだという。この重量であれば、クルマのラゲッジスペースに載せるため持ち上げることも、歩きながらスーツケースを転がすように運ぶことも難なくできるのではないだろうか。
サイズは公表されていなかったが、たたんだ状態で「スーツケース大」と同等としている。大きなコインロッカーにすっぽり入ってしまうサイズ、そして5G通信機能を新たに搭載したからこそ実現できる事業として検討されているのが、駅や街中にあるコインロッカーを起点としたシェアモビリティサービスだ。気軽に使える移動手段としてのメリットはもちろんのこと、「景観を変えないシェアモビリティ」としても期待されている。
近年、電動アシスト自転車や特定小型原付のシェアサービスは、その利便性を買われて日本各地で導入、ポート数も利用者数も拡大している。しかし一部では、路面に並べられている姿と景色とのミスマッチを指摘する声もあるようだ。保管場所をコインロッカーの中とするタタモ!であれば、そうした懸念はなくなるはずで、都心から観光地まで需要が見込まれる。
原付一種のタタメルバイクを開発したICOMAの特色あふれる特定小型原付のタタモ!、一般販売だけでなくシェアリングも含めて多面展開させるモデルとして期待してよさそうだ。