2024年9月11日、京セラコミュニケーションシステムは北海道石狩市で自動配送ロボットを使用した宅配便サービスの実証実験を開始。宅配便ロッカーを搭載して、ヤマト運輸の宅急便で配送される荷物をユーザー宅近くに輸送するサービスを同年10月下旬まで行うとしている。

ミニカー規格のモビリティで自動走行宅配便サービス

輸送力不足が叫ばれる物流業界において課題解決策のひとつとして期待され、開発や実証実験が進んでいる自動配送ロボット。イギリスやアメリカ、フィンランドなどの海外では2018年ごろから実用化され始めて、すでに大きな市場規模となっている。

最近だと、Uberやセブン-イレブンなどが出資する自動配送ロボットメーカー「サーブ・ロボティクス(Serve Robotics)」の株式を、2024年7月に半導体メーカー最大手のエヌビディア(NVIDIA)が100万株追加取得するニュースもあって話題となっていた。ドライバー不足や燃料費の高騰などさまざまな理由により、自動配送ロボットの市場は世界中で拡大していくことが予測されている。

こうした海外と比較すると、日本の自動配送ロボット事業はやや出遅れている感もある。「物流の2024年問題」の発端となる2019年の働き方改革とほぼ同時期に、経済産業省主導の協議会が発足して官民による推進が始まり、2023年の改正道路交通法により一定条件のもと自動配送ロボットがナンバーを装着せずに単独で公道を移動できるようになるなど、改革も進んでいる。

公道における実証実験は2020年頃から始まって、ENEOSや日本郵便、Uber Eatsなど多くの企業が主体となって事業化に向けてデータを蓄積、検証、精度の向上、モビリティの改善などが行われているものの、まだ事業化に至っていない状況だ。

自動配送ロボットを活用したモビリティサービスの開発に取り組んでいる京セラコミュニケーションシステム(以下、京セラ)も、2021年から北海道や千葉県でサービス内容を変えつつ、それぞれの地域特性に合わせた実証実験を繰り返し行っている。

2024年9月11日にスタートした北海道石狩市における実施で9回目、宅急便のヤマト運輸と、駅や庁舎などのオープンエリアに宅配便ロッカー「PUDOステーション」を構築するパックシティジャパンが共同実施する。

画像: ミニカー規格のモビリティで自動走行宅配便サービス

車両はミニカー規格(全長2.5m以下×全幅1.3m以下×全高2m以下)に準じたサイズの電動モビリティで、車道を15km/h以下で自動走行する。ただ、走行中は遠隔からオペレーター1人(複数台を監視)がモニタリングして、状況に応じて遠隔操縦するという。

この自動配送ロボットにPUDOステーション(宅配便ロッカー)を搭載して、北海道石狩市緑苑台東地区の一部エリアに在住するクロネコメンバーズ会員に宅急便を輸送。自動配送ロボットが目的地に到着すると会員に通知されて、会員が車両まで荷物を受け取りに行くというものだ。パスワードを入力すると扉が開いて荷物を受け取れるのだが、荷物の発送にも対応しているようだ。

実証実験は地方自治体や警察、企業と連携して同年10月下旬まで実施され、あらゆる配送サービスに適用できるよう汎用性を高めるための検証や技術開発を行い、サービスの提案につなげていくとしている。

This article is a sponsored article by
''.