スバル研究実験センター美深試験場に設置
自動車メーカーからサプライヤー、ソフトウェア開発会社や地方自治体など多くの企業・団体が携わっている自動運転システムの開発。日本各地ではバスをはじめとする公共交通機関に搭載して実証実験が行われ、また中国やアメリカでは個人向け車両に搭載するための試験走行が始まるなど、開発競争は加速している。
自動運転システムの構築にはLiDAR(ライダー)やレーダーといったセンサー類、カメラ、高精細3Dマップ、GPU、AIなど多くの先進技術が組み込まれるほか、高度な情報通信システムも必要となる。車車間通信だけでなく、信号機や道路状況を管理する管制センターなど、IoT(Internet of Things/モノのインターネット)により1日あたりの通信データ量は4TBにものぼるといわれている。
こうした大容量のデータ通信を支えるのが、近年スマホ通信の対応エリアが拡大している5Gだ。4Gより約10倍の通信速度で、理論上は最大で下り毎秒10〜20GB/上り毎秒480MBともいわれている。
この通信設備はもちろん自動運転システムの開発現場においても必要になる。そして今回、スバルが北海道にあるスバル研究実験センター美深試験場にローカル5G設備を導入して、協調型自動運転の実証実験を開始した。テストコースにローカル5Gを導入したのは国産自動車メーカーとして初の事例だという。
美深試験場は主に先行技術を研究開発する役割を担っており、従来から移動通信システムを使用して研究されてきたが、一般通信できるパブリック5Gではなく、独立して接続できるローカル5G設備を設けることで信頼性の高い高速通信環境を実現。電波の減衰が少なく広域をカバーできるSub6帯対応の無線基地局を周回コースに7基設置することにより、エリア全域で協調型自動運転の遠隔制御を可能にしている。加えて複数の自動運転車両で自動合流するための管制制御も行われる。
ちなみに設置された機器は、フィンランドの通信機器メーカー ノキア(日本法人:ノキアソリューションズ&ネットワークス合同会社)のシステム「NOKIA Digital Automation Cloud(NDAC)」で、日鉄ソリューションズのサポートにより導入されたという。