石粉の代替品としてCO2吸収剤を活用
アサヒ飲料は2023年6月より、自動販売機の庫内にCO2を吸収する特殊材を搭載した「CO2を食べる自販機」を展開してきた。1台あたりのCO2年間吸収量は稼働電力由来のCO2排出量の最大20%を見込んでおり、スギ(林齢56-60年)に置き換えると約20本分の年間吸収量に相当するという。
今回、そんな自販機で吸収したCO2を含んだ特殊材を道路舗装の素材として利用しようという試みを始めた。道路の舗装に用いられるアスファルト混合物は通常、石粉や砂などの材料を所定の割合で配合しているが、今回の道路用材料には、石粉の代替品として自販機から回収したCO2吸収剤を利用するそうだ。
アサヒ飲料と前田道路は、2023年8月からこのCO2資源循環システムの開発と検証に着手し、CO2吸収材の道路用材料としての適用性やそれを利用したアスファルト混合物の仕様規定への適合性を確認してきた。無事、室内検証を終了したため、実道への適用に向けて屋外での施工性や耐久性等を評価する実証実験のフェーズに移行したのである。
また、アスファルト混合物の製造方法の検討や環境負荷の低減度等を検証し、全国の約120万kmに渡ってネットワークされた道路の一部に適用した場合の効果も確認するという。
その他のCO2資源循環の展望
アサヒ飲料は今回の道路舗装材としての活用の他にも、自治体や企業と協力しながら自動販売機から吸収したCO2をさまざまな工業原料として活用することを計画している。吸収材を肥料に配合し土壌に散布することでCO2の土壌貯留を図ったり、コンクリートの原料に配合しCO2の固定化や海中での藻場造成などに活用することでブルーカーボン生態系の再生を図ることなどを検討している。
こうしたCO2資源循環モデルの取り組みは、アサヒ飲料が将来世代にワクワクと笑顔をつなげていくための活動「100YEARS GIFT(100年ギフト)」の一環で、CO2排出量削減の中長期目標として掲げる「アサヒカーボンゼロ」によると、2040年までにCO2排出量をネットゼロとすることを目指しているそうだ。
カーボンニュートラル社会の実現に向け、CO2を直接吸収し素材として利用しようというユニークな試みがどう発展、拡大していくのか、今後の展開に期待したい。