全長190センチを超えれば「普通自転車以外の自転車」
実は自転車には「普通自転車」と「普通自転車以外の自転車」という区分がある。後者は急増している電動アシスト自転車のことかと思いきや、世に出ている電動アシスト自転車の大半は普通自転車だ。つまり補助動力の有無で区分されているわけではない。では、普通自転車ではない自転車とはどんな自転車なのだろう。
話は前後するが、まずは「普通自転車」の定義から始めよう。これは車体の大きさや構造が内閣府令で定める基準に適合しており、かつ他の車両を牽引していない自転車に適用される。具体的には、
1.全長190cm以内
2.全幅60cm以内
3.四輪以下の自転車
4.側車が付いていない(補助輪は除く)
5.運転席以外の乗車装置(幼児用座席を除く)が付いていない
6.制動装置が走行中容易に操作できること
7.歩行者に危害を及ぼす恐れのある突出物がないこと
つまり、大きさや長さ、構造によって“普通”と“それ以外”で線引きされているのだ。いわゆるママチャリやロードバイクなど、市販自転車の大半は普通自転車である。
一方、前後2座でそれぞれペダルが縦列に設けられているタンデム自転車、寝そべるような体勢で運転するリカンベントなど、全長や全幅が内閣府令の基準に収まらないタイプが「普通自転車以外の自転車」の代表格だ。これらは一見してふつうの自転車と形も大きさも違うのでわかりやすい。
「普通自転車以外の自転車」は自転車専用道路も走行不可
見た目の違いはひとまず置くとして、大きな違いは「例外的に歩道を通行できる自転車」は普通自転車に限定され、それ以外の自転車は自転車通行可の歩道でも走ることは認められていないという点だ。
つまり、普通自転車以外は車道(標識のあるところではそれに従う)もしくは公道ではないところ(私有地など)しか走れないということになる。ただし、降車しての押し歩きは“見なし歩行者”として扱われ歩道通行は可能だ(側車付や他の車両を牽引しているものは除く)。
さらに「自転車専用」の規制標識がある自転車道も走行できない。矛盾しているようだが、ここでいう“自転車”とは普通自転車を指しており、普通自転車以外の車両(や歩行者)の通行は禁止される。
本格MTBや輸入自転車はハンドル幅60cm超えが少なくない
上述のとおり、世に出ている大半の自転車は普通自転車だが、注意が必要なのは操縦性を重視した本格的なMTBや海外から輸入されているファットバイク、ビーチクルーザーなど。一見すると普通自転車のようだが、全幅60cmを超えていることがある。普通自転車でもそのハンドル幅は、55〜58センチくらいある。お手持ちの自転車が思い当たるならば、念のため確認しておくことをお勧めしたい。
ちなみに、国内の自転車メーカーでは「※道路交通法で定める普通自転車の横幅規定を超えているため、自転車走行可の歩道や自転車専用道路は走行できません。その他『自転車は除く』と道路標識に記載のある場合も、普通自転車としての扱いをされませんので、標識の指示に従ってください(パナソニックXEALT M5の商品紹介ページより引用)」と注意書きを明示している。
もちろん、サイズが普通自転車の枠を超えていても公道走行は可能だ。とは言え、とくに歩道を走行する可能性のある人は、購入に際してそのあたりを承知しておく必要がある。折しも2026年から自転車に関する取締りが強化される。知らずに歩道を走っていて、思わぬ違反とならないようご注意を。