米テキサス州オースティンに本拠を置く新進気鋭のEVメーカー「Linx Motors(リンクスモータース)」。去る5月2日(現地時間)、同社は初の市販モデルとして往年の名車をオマージュしたEVモデルを2台同時に公開した。情報はまだ限定的ながら、ビジネスモデルのユニークさも含めて今後の動向が注目される。

筋金入りの愛好家を納得させる新たなEVビジネス

「リンクスモータース」は、誕生からまだ間もない新進気鋭の米EVスタートアップである。ユニークなのは、多くの自動車メーカーのように数を売るのではなく、伝説的な名車をモチーフに最新の電動テクノロジーを吹き込んだEV車両を販売するとともに、顧客に究極のラグジュアリー体験を提供することをビジネスモデルに据えているところだ。

ゆえに想定している顧客は、筋金入りのマニアやコレクターであり経済的にかなりの余裕がある層に限っているようだ。完全なカスタマイズ、80%の買戻し保証、専属のコンシェルジュによるサービスとメインテナンス、VIPイベントへの招待等など、特別なホワイトグローブ体験を提供するという。同社のウェブサイトも開設されたが、情報は限定的でより深い情報を得ようとすると“詳しくはオンラインにてお問い合わせを”と個別対応になっている。

そんなエクスクルーシブとも言えるビジネスモデルを展開する同社が最初のラインナップに選んだのは、映画「バックトゥザフューチャー」でおなじみの「デロリアンDMC-12」、そして伝説のレーシングカー「フォードGT」である。そこに現代の解釈と最新のテクノロジーを投入し、顧客の要求に応えていくという。

100台限定での生産となる「Lynx DMC-EV」

デロリアンのDMC-12には、生産終了からすでに40年以上経ったいまでもさまざまな復活プロジェクトが存在している。しかし、そのいずれもいまだ日の目を見ていない。単に“中断”されているだけなのか、完全に消滅してしまったのかはわからないが。権利関係も含め、復活には数々のハードルを越えなければならないようだ。

画像: リンクスモーターから100台限定で発売予定の「DMC-EV」。オリジナル車のイメージを忠実に再現している。

リンクスモーターから100台限定で発売予定の「DMC-EV」。オリジナル車のイメージを忠実に再現している。

そんないわくつきの名車をEVテクノロジーで再解釈したのが「Lynx DMC-EV」である。オリジナルモデルと同じくステンレススチールによって構成されたエクステリア、アイコンでもあるガルウイングドアも再現されている。よく見れば、現代のクルマに求められる安全基準や運動性能を満たすさまざまなリファインが施されているようだ。ヘッドランプユニットやリアコンビランプもLED化されている。

インテリアは21世紀のスポーツカーに相応しい完全な新設計。フロントパネルは広大なLEDディスプレイに置き換えられており、タッチスクリーンインターフェイスを採用している。詳細はまだ明らかにされていないが、画像を見ると最新のADASシステムも搭載されているようだ。

画像: インストパネルは全面がLEDパネルに置き換えられおり主たる操作はタッチパネルで行うようだ。

インストパネルは全面がLEDパネルに置き換えられおり主たる操作はタッチパネルで行うようだ。

もちろん駆動方式は別物。オリジナルはリアアクスルの上にV6エンジンを搭載した後輪駆動車だったが、リンクスは4輪にスロベニアのElaphe社製L1600型インホイールモーターを配して4輪駆動に生まれ変わらせている。駆動バッテリーはCATL製で容量は70kWh。NACS規格の急速充電に対応し、航続距離は250マイル(約402km)、0→60MPH(約96.6km/h)加速は4秒未満と発表されている。

現段階で価格や生産開始時期については未発表だが、100台の限定生産となることは発表されている。リンクスは「デロリアンDMC-EVは単なるリバイバルではなく、アイコニックなスタイルと先進の安全性、パワフルなパフォーマンス、優れたハンドリングを融合させた完全な再発明」と説明している。

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