2024年3月14日(アメリカ現地時間)、イーロン・マスク氏率いるスペースXは3回目となる民間大型宇宙船「スターシップ」の飛行試験を実施した。宇宙空間到達は達成したものの、その後の大気圏突入には失敗したようだ。(タイトル写真は2023年4月打ち上げの初号機)

3度目の正直で「スターシップ」飛行試験の結果は…ほぼ成功か

今回、2024年3月14日に実施された3回目の飛行試験では、1段目ロケット「スーパーヘビー」は問題なく作動して分離後メキシコ湾への着水に向けた方向転換と着陸動作までは問題なく行えたが、高度462mで予定外の「RUD(スペースXの専門用語で予定外の急速分解を表す)」が発生し、残念ながら着水直前での失敗となったようだ。

一方で、宇宙船「スターシップ」は予定軌道への投入に成功し、ペイロードドアの開閉や推進剤行こうデモンストレーションなど、飛行試験の主目的のいくつかを達成し、初めての大気圏再突入フェーズを経験することになった。

画像: 2020年12月実施の「スターシップ」プロトタイプ飛行試験のようす。将来的には逆噴射でそのまま着陸することを目指している。

2020年12月実施の「スターシップ」プロトタイプ飛行試験のようす。将来的には逆噴射でそのまま着陸することを目指している。

残念ながら最終的には打ち上げから49分後に宇宙船「スターシップ」からの信号が途絶したため、機体は着水することなく喪失してしまったとみられているが、NASA長官のネルソン氏はX(旧Twitter)にて「スペースXの飛行試験成功おめでとうございます。スターシップは天高く舞い上がりました。人類を月へ、そして火星へと送り届けるため、私たちはアルテミス計画を通じてともに大きく前進していきます」と祝福した。

1回目では2段目宇宙船「スターシップ」分離前に1段目ロケット「スーパーヘビー」のエンジントラブルで失敗(発射には成功)、2回目では分離成功後に失敗(分離には成功)、今回は再突入に失敗(宇宙空間到達・宇宙での各種試験に成功)ということで、失敗といえば失敗だが、目標に向け着実にステップアップしており、飛行試験であることを考えれば長期的な視野では、教訓を得られた“成功”と言えるかもしれない。

失敗は成功のもと

近年は宇宙開発事業に注目が集まり、JAXAはHIIAロケットに変わる次世代ロケット「H3」を開発中で、2024年3月13日には日本企業のスペースワンが「カイロス」を打ち上げを行っている。

ただ、「H3」は2023年3月の初回打ち上げで第2段ロケットのエンジン点火に失敗して破壊措置が実施、「カイロス」も2024年3月13日の初回打ち上げで打ち上げ直後に姿勢制御を見出し自動破壊するなど、ロケット開発には失敗がつきものと言えるのである。

画像: 全部分再使用という夢の高コスパロケットは実現するのか(写真は2023年4月打ち上げの初号機)

全部分再使用という夢の高コスパロケットは実現するのか(写真は2023年4月打ち上げの初号機)

莫大な開発費用と打ち上げ費用がかかるとはいえ、1回、2回の失敗に一喜一憂することなく一歩ずつ着実に技術が進歩していくことを願うばかりだ。

This article is a sponsored article by
''.