2023年10月〜12月のEV販売台数でテスラを抜き、ついに世界ナンバーワンのEVメーカーとなったBYDから、次の矢が放たれた。アット3(ATTO3/中国名Yuan PLUS)よりもひと回り小ぶりのB/Cセグメント相当のクロスオーバーSUV、「Yuan UP」の公式画像が中国国内向けにWeiboで公開されたのだ。価格を含めた詳細は正式発売となる本年3月を待つしかないが、一部スペックはすでに公表済み。欧州や日本でも人気のセグメントだけに、早くもその動向が注目を浴びている。

ドルフィン以上、アット3未満の絶妙なサイズ

「Yuan Up(ユアン アップ)」と名付けられたまったく新しいコンパクトクロスオーバーは、BYDが展開する「王朝シリーズ」、「海洋シリーズ」、高級車ブランドの「DENZA(デンツァ)」、「方程豹(ファンチョンパオ)」、「仰望(ヤンワン)」のうち、王朝シリーズに追加される。

画像: 兄貴分となるアット3の面影もあるがひと回り小さくドルフィンに近いサイズ感だ。

兄貴分となるアット3の面影もあるがひと回り小さくドルフィンに近いサイズ感だ。

中国の工業情報化部(MIIT)に提出されたデータが公開されており、それによればボディサイズは全長4310×全幅1830×全高1675mm、ホイールベースは2620mm。アット3はそれぞれ4455×1875×1615mm、ホイールベースも100mm長い。また、メカニズムの多くを共用すると予想されるドルフィンは全長4290×全幅1770×全高1550mm、ホイールベースは2700mmだ。つまり、アット3とドルフィンのわずかな隙間を狙っていることが伺われる。

画像: ホイールベースは2620mm。アット3より100mmも短く、ドルフィンより80mm短い。

ホイールベースは2620mm。アット3より100mmも短く、ドルフィンより80mm短い。

プラットフォームは、アット3やドルフィンへの採用でも知られる「e-Platform 3.0」。駆動方式は前輪駆動のみで、搭載するモーターは最高出力70kWと130kWの2種類が用意され、BYDオリジナルのLFPブレードバッテリーもそれに合わせて32kWhまたは58.56kWhが搭載される。

車両重量は前車が1430kg、後者が1540kg。航続距離はそれぞれ、301kmと401km(CLTPモード)。最高速はどちらも160km/hでリミッターが作動するように設定されているようだ。あくまで中国国内仕様の届出値であり、詳細は仕向け地ごとに変更される可能性は高い。

画像: ベースになったのは恐らくドルフィン。ボディサイズに違いはあるがパワートレーンはほぼ同じ。

ベースになったのは恐らくドルフィン。ボディサイズに違いはあるがパワートレーンはほぼ同じ。

装備充実ながら破格のプライス実現か

インテリアは従来のBYD流デザインに則っており、写真を見る限り、シンプルながらなかなかに洗練されている。8.8インチの液晶インストルメントパネルと12.8インチのフローティングタッチスクリーンを備え、クリスタル調のシフトレバーが全体の質感向上に役立っている。もちろんスマホ用のワイヤレス充電機能も搭載する。

画像: シンプルだがエレガントで高くまとめられたインテリア。ヘッドアップディスプレイも全車に標準装備か。

シンプルだがエレガントで高くまとめられたインテリア。ヘッドアップディスプレイも全車に標準装備か。

シートとドアパネルは豪華なレザー調の素材を採用しているようだ。シート素材に施された菱形のエンボス加工が質感をさらに高め、ホワイトとダークグレーを基調としたインテリアカラーがエレガントで爽やかな雰囲気を醸し出している。さらに、このクラスのクルマとしては珍しく全車にヘッドアップディスプレイが標準装備されるという情報もある。

気になる車両価格だが、複数の現地メディアが10万元(約208万円)〜12万元(約250万円)のあいだで設定される見込みだと報じている。実現すれば、まさに爆安。しかもハンガリー、タイ、ブラジルなどで建設中の新工場でも生産し、アジア、欧州、中南米でも発売する可能性があるとのこと。日本への導入は未定だが、実現すれば同クラスのハイブリッド車と同等かもしくはそれより手ごろな値付けとなるのは間違いなさそうだ。

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