初代GACHAは北欧フィンランドで走っている
生活雑貨「無印良品/MUJI」のブランドでおなじみの株式会社良品計画が、自動運転シャトルバスの実用化に関わっていることはご存じだろうか。実はその活動は意外に長く、2018年にフィンランドで実証実験が始まった自動運転シャトルバス「GACHA(ガチャ)」に同社が手掛けた車体デザインが採用されたことに端を発している。
初代GACHAは、自動運転技術の研究開発を行うフィンランド企業Sensible 4がヘルシンキ周辺の3都市(エスポー、ヴァンター、ハメーンリンナ)のサポートを受け、2020年の実用化をめざして開発を進めていたもの。あらゆる気象条件下でも安定して機能する自動運転シャトルバスだ。
良品計画は初代GACHAの内外装デザインを担当。前後の区別のないミニマルでフレンドリーなかたちと、ヘッドライトとコミュニケーションスクリーンが一体となったLEDのライトベルト、内装に沿ったラウンド型のベンチシートなど、個人所有するクルマではなく地域でシェアする公共交通機関実現の願いを込めてデザインされたという。当時公開された車両概要は以下のとおり。
【初代GACHAシャトルバス概要】
ボディ寸法:全長4600×全幅2500×全高2800mm
乗車定員:16名(座席数10席、立ち乗り6名)
自動運転時最高速:40km/h
駆動方式:電動4輪駆動
走行距離:急速充電使用で100km以上
日本の交通事情に合わせてコンパクトに進化した2代目
初代GACHAは日本でも2022年5月に千葉県千葉市の花見川団地で実証実験が行われた。そこで得られたデータをもとに日本の交通事情にマッチさせるべく大幅にリニューアルされたのが、今回紹介するする二代目GACHAである。前後の区別のないフレンドリーな外観イメージは初代譲りだが、大幅にコンパクトになり、日本の道路事情にマッチしたものにリニューアルされている。発表されている概要は以下のとおり。
【2代目GACHAシャトルバス概要】
ボディ寸法:全長3135×全幅1306×全高1830mm
乗車定員:4名(座席数10席、立ち乗り6名)
自動運転時最高速:19km/h
駆動方式:交流モーター駆動
自動運転方式:電磁誘導
ボディサイズ、とくに全幅をおよそ半分に抑えることで、初代GACHAでは走行できなかった道路や商店街のような歩行領域での走行することを想定している。結果的に走行できるエリアやルートの選択肢が増えることで、従来のシャトルバスでは応えられなかった需要やサービスへの活用も期待される。良品計画が目指す「感じ良い暮らしと社会」がモビリティでも実現に近づくのだ。
今後、実用化に向けて実証実験を行う予定だが、それに先駆けて2月11日まで開催されている「札幌国際芸術祭2024」のさっぽろ雪まつり大通2丁目会場で作品の一部として展示とデモ走行(同乗も可能。要予約)が実施されている。イベント終了まで時間はないが、この週末に雪まつりに行く予定があるならば、ぜひ実車を確認してみて欲しい。