2025年までには全モデルに「Folgore」が出揃う
マセラティといえば、フェラーリやランボルギーと並ぶイタリアの超高級ブランドだ。一貫してイタリア国内で設計、開発、生産されており、創業家の家紋である「トライデント」は現行モデルでも燦然と輝いている。
現在は、ステランティスグループ唯一のラグジュアリーブランドでもあり、イタリアのブランドとして初めて量販EVを市販開始したことでも知られている。また、フォーミュラEへの参戦など、今年で創業110周年を迎える伝統の上に胡坐をかくことなく、電動化への変革にも取り組んでいる。
今回発表された新たな計画では、2025年までに全ラインナップに “Folgore(フォルゴーレ:イタリア語で稲妻の意)”を追加することに変更はないが、フルライン電動化を2030年から2028年に前倒しする。つまり、電動化計画は想定以上に順調に進んでいるようなのだ。さらに、新ラインナップのロードマップも明らかにされた。
新EVプラットフォーム採用車は2027〜2028年に登場
現在、同社のラインナップするEVは「グラントゥーリズモFolgore」と「グレーカーレFolgore」の2台。2024年中に新たに「グランカブリオFolgore」が加わる。
次いで2025年には、上海オートショー2023でも予告されていたスーパースポーツの「MC20 Folgore」が加わる。すでにMC20の生産拠点であるモデナ工場では、2025年に向けてEV用生産ラインの敷設が始まっているとのこと。その後、現在はEVをラインナップしていない車種にも、Folgoreを追加することになる。
2027年には、ステランティスの新EVプラットフォーム「STLAラージ」を採用する新型の大型クロスオーバーSUV(発表では「新型大型E-UV BEV」と表記)、2028年にはフラッグシップサルーンとしてやはりSTLAラージの採用が見込まれる「次世代クワトロポルテ」が登場する。これで、フルラインEVのラインナップが完成することになる。
マセラティCEO、ダヴィデ・グラッソのコメント
「私たちは電動化の変革をリードするために全力で取り組んでいます。マセラティのアイコニックな2つのモデルは、すでに100%電気自動車で購入可能であり、もう1つは今年中に発売される予定です。私たちは、お客様にこれまでで最もパワフルなマセラティを提供し、ドライビングプレジャーの限界を新しい時代に押し広げます。長期的な戦略的ビジョンと計画により、私たちは独自のイタリアの製造の卓越性でラグジュアリーの世界で足跡を残し、常に独特の品質を追求し、トライデントの価値観を反映した最高の製品をお客様に保証する専用のビジネスモデルで未来を築きたいと考えています」
欧州のプレミアムメーカーの多くが2030年をEVシフトのゴールポストに定めてはいるが、昨今はその“達成は状況次第”とややトーンダウンした声も聞こえてくる。高級EV市場は今後しばらく混沌とした状況が続きそうだが、今回のマセラティの発表は現段階で早期に完全なEVシフトを完了させ、2028年にはEV専業の高級車ブランドへの変貌を遂げることを改めて宣言したことになる。