2023年12月6日、ニュージーランド航空はアメリカの電動航空宇宙メーカー「BETA Technologies」が設計した全電動航空機「ALIA」を2026年に導入すると発表した。運用開始後はニュージーランド郵便と提携して、貨物輸送サービスに使用される。
電動航空機導入の背景
今回の発表は、ニュージーランド航空が掲げる「ミッション次世代航空機プログラム」に基づいたもので、BETA Technologiesは2026年のゼロエミッション機の商業飛行(貨物または旅客)開始を目指して選ばれたパートナー企業4社のうちの一つである。
そんな同プログラムで最初に発注されたのが「ALIA」で、今後残りの3社のモデルも順次導入されていく予定となっている。
従来型離着陸(CTOL)バージョンを導入
BETA TechnologiesのALIAには、従来型離着陸版(CTOL)と垂直離着陸版(VTOL)があり、ニュージーランド航空は航続距離とペイロードに優れた従来型離着陸版を導入する。テスト飛行では、ALIAは1回のフライトで480km飛ぶことができたそうで、導入時には約150kmの路線で運用するとしている。
機体スペックは、機体重量3トン、長さ12m強、最高時速270km/h、充電時間40~60分(フル充電まで)ということだけしか公表していないが、ニュージーランド航空は1機の注文が確定しており、2機のオプション発注(仮発注)とさらに20機分の権利と合わせると、最大23機が導入される可能性がある。
航空各社が電動航空機の導入や検討を相次いで発表しており、旅客機だけでなく貨物輸送機にも電動化が求められる時代となってきている中、ニュージーランド航空の電動貨物機導入は一つの先行事例として注目されていくことになるだろう。