レベル4飛行が可能になる第一種型式認証
ドローンの飛行レベルは4段階あり、レベル1が目視内での操縦飛行、レベル2が目視内での自律飛行、レベル3が無人地帯での目視外飛行、レベル4が有人地帯での目視外飛行に分類されている。従来はレベル3までしか認められていなかったが、2022年12月のレベル4解禁以降、各社が開発に集中するホットな領域だ。
このレベル4飛行の鍵を握るのが、国土交通省が航空法に基づいて、無人航空機の設計や製造が安全基準及び均一性基準に適合しているかを検査・認証を行う型式認証制度で、これに合格した製品のみがレベル4飛行を行うことが可能だ。
従来のレベル3飛行までは、ドローン運航に操縦手とその補助者で複数人の運航スタッフを必要としていたが、レベル4により操縦者1名で運航可能となり、省人化や効率化を実現した。
ACSLの「PF-CAT3」は、この第一種型式認証をいち早く取得しており、2023年3月には奥多摩にてレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)による初の実証実験に成功していた。
実証実験と今後
今回の実証実験では、ACSL提供の小型ドローン「PF-CAT3」を使用し、沖縄県の久米島町内スーパーから同島真謝地区の住民への食品配送サービスとして2.3km飛行し、計11回に及ぶレベル4飛行に成功した。
運航にあたったANAホールディングスは、今後レベル4で実証する運航体制、飛行経路などを検証し、ドローン物流事業の社会実装を目指していくとのことだ。
こうしたレベル4飛行についてのノウハウを蓄積していくことで、ドローンによる配送サービスの実用化に向けて大きく前進することができる。山間部や離島でのミニマムな配送、保守点検の効率化など進展など、大いに期待したい実験であることは間違いない。
【主要諸元 ACSL PF-CAT3】
●全長×全幅×全高:1174×1068×601mm(プロペラ含)
●重量:5.53kg(機体)/3.27kg(バッテリー)
●最大ペイロード:1.00kg
●最大離陸重量:9.80kg
●最高速度:36km/h
●補助安全装置:日本化薬社製パラシュート搭載