ロータリーPHEVで小型化
ロータリーエンジンといえば、言わずと知れたマツダの象徴として長年根強い人気を誇ってきたエンジンだが、2012年のRX-8生産終了以降は市販モデルが途絶えてしまっていた。
そんな中、今年に入ってMX-30のグレード展開に「Rotary-EV」が追加され、PHEV用エンジンとして11年ぶりに復活を遂げると、エンジン車とバッテリーEVの間を補完する存在として注目を集めた。
しかし、ロータリーエンジンよりもレシプロエンジンの方が効率が良いのではないかという疑問や、駆動用エンジンとしても復活してほしいといった願いを多くの人が抱いたのではないだろうか。
一つ目の疑問に関しては、たしかにMX-30 のロータリーPHEVは、エンジン発電での走行だと15.4km/Lと、低燃費とはいえない微妙なものとなっているが、ここで重要なのはロータリーエンジンそのものではなく、パワートレーン全体の小型化である。
MX-30搭載の新開発8C型ロータリーエンジンだとユニットの容積は50.1Lであるが、ほぼ同出力の直3ガソリンエンジンにするとユニット全体の容積が61.2Lと18%小型化できた。
また、発電専用にすることで効率の良い回転数に特化できたため、RX-8搭載の13B型より25%燃費を改善し、低回転域でのトルク問題も気にしなくてすむ。
さらに、これから純エンジン車を開発・販売するとなると、厳しい規制が大きな壁として立ち塞がり難しくなってしまうが、基本はEV走行で、航続距離延伸用の発電ユニットとしてロータリーを積むことで、規制を潜り抜けることができるかもしれないという点で、ロータリーPHEVには可能性があるのだ。
つまり、ロータリーPHEVはロータリーエンジンが復活したということよりも、むしろコンパクトEVユニットの発明という点で注目されるべきであり、この特徴が今回の低重心EVスポーツカー「アイコニック SP」誕生に大きく貢献したわけである。
ちなみに、気になるスペックは、全長×全幅×全高:4180×1850×1150mm、最高出力370ps、車重1450kgと純ガソリンエンジンスポーツカーと遜色ない水準に仕上がっており、航続距離延伸のためにバッテリーを多く積んで大きく鈍重な車体を動かすために、大パワーモーターを搭載するというEVスポーツカーのトレンドから外れた、小型軽量でスポーツドライビングを気軽に楽しめるモデルとなっている。