クルマやバイク等の車両は、公道走行する際に自賠責保険証の車載が必須だが、車載スペースが存在しない電動キックボード等の小型モビリティではどうすればいいのだろうか。実は2023年6月から従来どおりの物理的な保管に加えて電子的な保管も可能になっている。

自賠責保険とは

自賠責保険の正式名称は「自動車損害賠償責任保険」。交通事故を起こした際に被害者に対する最低限の賠償を行うための保険で、任意保険とは異なり全ての車両で強制的に加入する義務がある。

自賠責保険は、どこの保険会社でも同一の料金が設定されており、1年~5年間の間で契約期間を選択できるが、契約期間が長いほど1年あたりの保険料が下がる仕組みとなっている。

画像: 自賠責保険は全ての車両で強制的に加入する保険

自賠責保険は全ての車両で強制的に加入する保険

この自賠責保険に加入していることを証明する書類が自賠責保険証(自賠証)で、公道走行時には必ず車載しなければならず、備え付けていないと30万円以下の罰金が科される罰則も規定されている。

クルマやバイクの場合は、ポケットやホルダーなど車載するスペースが装備されているので、備え付けることができる。一方で、電動キックボードなどに代表される軽量・コンパクトな車両だと、車載スペースが存在しないことがほとんどだ。

では、どうやって携帯すれば良いのだろうか。

自賠証の電子化が可能に

実は2023年6月1日より、構造上の制約で自賠証の保管・携帯が難しい小型モビリティ(特に電動キックボード等)は、自賠証の画像データ等をスマホなどの端末に保存して携帯することで、書類の車両備え付け義務と提示義務をクリアできるようになった。

画像: 電動キックボードなどの小型モビリティでは、条件付きで自賠責保険証の電子保管が認められるようになった

電動キックボードなどの小型モビリティでは、条件付きで自賠責保険証の電子保管が認められるようになった

ただし、以下の3条件を満たす保管装置を搭載していると車載義務が発生するので注意が必要だ。

1. 縦210mm以上×横148mm以上の大きさを有すること。
2. 密閉できること。
3. 警察官又は自賠法第85条第1項に基づき行政職員に自賠証等の提示を求められた際、容易かつ迅速に取り出せること。

もちろん、引き続き外付けポーチなどを取り付けて書類を車載することも可能だが、そもそも電動キックボードは密閉保管するための装備がないので、素直にスマホにデータを保管するのが賢明だろう。

小型モビリティでも責任は重い

2023年7月1日の「特定小型原動機付自転車」という車両区分が新設されて話題となったが、今回取り上げた自賠責保険証の保管、いわゆる車両本体以外に関しても地味だが便利になるように法規制がアップグレードされていたのだ。

今後、特定原付の価格がより安価なモデルが登場すると、ほぼ自転車並みというお手軽さと合わせて普及が加速していく可能性がある。一方で、事故を起こしてしまった場合、一般原付と同様の賠償責任が発生するということを理解している人は少ないように思われる。

交通法規や義務について正しく理解し、普段から意識して行動するように心がけることで、安全で安心したモビリティ社会が実現することを切に願う。

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