空飛ぶクルマや物流ドローンを開発するスタートアップのSkyDrive社は、アメリカサウスカロライナ州にて、チャーター機運航会社オースティン・アビエーションから5機のプレオーダーを受注した。

空飛ぶクルマ「SKYDRIVE」の概要

空飛ぶクルマは、「電動化」、「自動化」といった航空技術や垂直離着陸などの運航形態によって実現される、利用しやすく持続可能な次世代の空の移動手段のことを指す用語だ。諸外国では、Advanced Air Mobility(AAM)や Urban Air Mobility(UAM)と呼ばれており、近年急速に注目を集める移動手段になりつつある。

今回5機のプレオーダーを受けた「SKYDRIVE」は、3人乗り(乗客2名とパイロット1名)で、うち1名のパイロットが操縦するが、コンピュータ制御のアシストが入ることで、飛行を安定させるシステムが取り入れられている。SkyDrive社によると、将来的に「空飛ぶクルマ」が、自動車のように日常的に空の移動手段として使われる世界を目指して、開発を進めてきた、とのことである。

画像: 前席1名、後席2名の計3名が乗り込める

前席1名、後席2名の計3名が乗り込める

今回の提携の背景

SkyDriveは、2023年1月に開催された2023年度のeVTOLシンポジウムにおいて、米国市場への参入計画と、サウスカロライナ州に本拠点を置いたことを発表していた。さらに、2023年6月のパリ・航空エアショーで、ここで紹介するモデルの「SKYDRIVE」を発表し、開発に取り組んでいる。

今回の提携で、サウスカロライナ州政府と州内の主要空港、および運航会社等のあらゆるステークホルダーと協力し、サウスカロライナ州において空飛ぶクルマの実現に向けて、本格始動することになった。

画像: オースティン・アビエーションとVolatus等パートナー企業と提携する

オースティン・アビエーションとVolatus等パートナー企業と提携する

Lowcountry Aviation Companyの子会社で、チャーター機の運航会社であるAustin Aviation Inc. (オースティン・アビエーション)と、空飛ぶクルマ導入に関する覚書を締結し、設計開発中の「空飛ぶクルマ」の商用機「SKYDRIVE」の最大5機のプレオーダーを合意に至った。

また、SkyDriveは2022年9月に、米国のVolatus Infrastructure LLC (「以下、Volatus」)と業務提携し、アメリカにおける空飛ぶクルマのバーティポートや充電ステーションなどのインフラ構築計画を推進してきており、サウスカロライナ州においても、Volatusから重要な専門知識が提供される予定となっている

今後、SkyDrive社は、オースティン・アビエーションやVolatusほか、多様なパートナー企業と協力し、同州の主要空港を起点とした「SKYDRIVE」の実用的なユースケースを創出、商業運航を目指すとのことである。

空飛ぶクルマの展望

パワートレーンの電動化の波は、航空業界にも波及しつつあり、「空飛ぶクルマ」は2025年の大阪・関西万博における最重要モビリティのひとつに位置付けられるほど注目度が高まっている状況である。

しかし、現在はいわば黎明期の段階であり、航続距離や安全性といった技術的課題や法整備、インフラ整備といった問題が山積しているが、それらを乗り越えた先に、渋滞なしで最短距離で移動できるという "移動革命" が待っている。

ちなみに、今回紹介したSkyDrive社は愛知県豊田市に本社を構えるスタートアップ企業。陸上を走る "クルマ" に続いて "空飛ぶクルマ" でも、豊田市の企業が世界をリードすることになるのか、今後の行方を見守りたい。

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