ボルボが2023年6月7日にコンパクトなSUV、「EX30」を発表した。この新しいモデルは、どのような内容なのか。そしてボルボにとって、どのような存在になるのかを見ていこう。

注目されたのはその価格設定

ボルボは、2023年6月7日にイタリア・ミラノにて、新型の小型SUV「EX30」を発表した。同時に一部マーケットにおいて受注も開始している。この新型モデルはEV専用モデルであり、ボルボにとって最も小さなSUVとなる。そして、ボルボにとって今後数年の間、最も大きなビジネスになることが期待されているモデルだ。

ボルボは「2025年までに世界販売の50%をEVで構成、営業利益率を8〜10%」にすると発表している。そして「2030年までには、販売のすべてをEVにする」という目標を掲げている。その高い目標達成に欠かせないモデルであり、ボルボがさらに大きく成長する糧となるのが、今回の新型「EX30」なのだ。

画像: 新世代ボルボと感じさせる精悍なフロントマスク。

新世代ボルボと感じさせる精悍なフロントマスク。

今回の「EX30」の発表で、注目点されるのはその価格だ。なんと3万6000ユーロからだという。現在の円/ユーロの為替は1ユーロ=150円。それで計算すると新型「EX30」は540万円からとなる。

ちなみに、これまでのボルボ最小SUVの「XC40」のEVの価格は679万円からだった。さらに「EX30」は「Care by Volvo」サブスクリプションパッケージでも提供され、その場合、月額599ユーロ(約9万円)からだという。ボルボいわく「プラミアムな電気自動車のSUVを、内燃エンジン搭載車と同等の価格で購入することができる」とか。

リサイクル素材を多用して温暖化ガス削減

また、「EX30」は中国で生産されるが、製造からライフサイクルを通したカーボンフットプリント(地球温暖化ガス排出量)は、20万km走行で比較すると、「C40」や「XC40」のEVよりも25%も削減しているという。

その達成に貢献したのが素材だ。「EX30」は、製造に対してアルミニウムの約25%、鉄の約17%、プラスチックの約17%がリサイクル素材を利用している。ボルボ史上、もっとも環境に優しいモデルとなる。

一方で、ボルボは「EX30」を「小さいけれど、最もボルボらしいクルマ」だとも説明する。エクステリアやインテリアのデザインは、洗練されたスカンジナビア・デザインである。

画像: インパネまわりはすっきりとまとめられている。

インパネまわりはすっきりとまとめられている。

前後揃ったオーバーハングに、ロングホイールベース、大径ホイールを組み合わせるボディスタイルは端正そのもの。インテリアのトピックは、メーター類を12.3インチのセンターディスプレイに集約していること。また、室内デザインは4種類のテイストを用意。5種類のアンビエント照明のテーマも用意され、落ち着きとリラックスの室内空間を実現している。

さらにホームオーディオにインスパイアされたハーマンカードンのサウンドバーが、フロントガラスの下に埋め込まれているのも特徴的。見えないけれど、十分な数とパワーのプレミアムなオーディオが「EX30」には備えられているのだ。

モーターとバッテリーは2種ずつ設定

EVとしてのパワートレイン&バッテリーは、ニーズに応じて複数から選べるようになっている。モーターは、後輪駆動のシングルと全輪駆動のツインが選択可能。バッテリーも、エントリー向けのLFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーと、高性能なNMC(リチウム/ニッケル/マンガン/コバルト)バッテリーの2種類だ。これらを組み合わせることで、目的とコストにあわせたセットアップが可能となる。

具体的には、市街地向けのコストパフォーマンスの高さを求める人には、シングルモーターのLFPスタンダードレンジバッテリーを。最大限の航続距離を求めるならNMCバッテリーのシングルモーターエクステンデッドレンジで、航続距離は最大480kmに。

パフォーマンスを求めるのであれば、NMCバッテリーにツインモーターを組みあせるツインモーターパフォーマンス。こちらの性能は、最高出力315kW(428ps)で、0→100km/h加速3.6秒を実現する。これはボルボ史上最高の加速となる。

また、充電においては、エクステンデッドレンジのツインモーターで最大153kW、スタンダードレンジで最大134kWもの充電能力を備え、最速で25分強あればバッテリーを10%から80%にまで充電可能とする。パワフルな充電設備があれば、充電の待ち時間も少なくできるということだ。

クロスカントリーバージョンも用意

そして安全機能も最新のボルボならではのものが備わっている。クルマの横を追い抜こうとする自転車やバイクが、開けたドアとぶつからないようにする「ドアオープニングアラート」や、乗車していない側からの側突に対処する「ファーサイドエアバッグ」、ドライバーの疲労などを監視する「ドライバーアラートシステム」、交差点内での事故を回避する「交差点自動ブレーキ」などを採用。パッシブでもアクティブでも、最先端の機能が備えられているのだ。

最後にボルボは、「EX30」のさらなるバリエーションも予告している。それが2024年より受注開始を予定するクロスカントリーバージョンだ。フロント&リアのバンパーにはブラックパネルが備えられ、フロント、リア、サイドにはスキッドプレート、そしてボンネットに小さなスウェーデン国旗が追加されており、ひと目で違いが確認できるという。また、より高い最低地上高、19インチのブラックホイール、特注タイヤの18インチホイールなどのオプションも用意されているという。

ボルボの成長、そして2025年の50%、2030年に100%をEVとする目標達成を左右する大きな挑戦。それが新型「EX30」だと言えるだろう。

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