ドローン用発電ユニット「α live RX」
ドローン用の発電ユニットとして搭載するレンジエクステンダー機器が「α live RX」。現状のリチウムイオン電池は、内燃機関(エンジン)に使われる燃料と比較して、エネルギー密度が低い=航続距離が短い、充電時間が長い=次の利用に時間がかかる、というデメリットを解決できていない。
ただ、電動ユニットにはシステムで制御しやすいという極めて重要なメリットもある。一方で内燃機関は、確かに環境性能に疑問が持たれているが、それでもその利便性から100年以上にわたりパワートレーンのマジョリティを占めている。
そこで、これら二つのメリットを掛け合わせたものが今回のドローン用発電ユニット「α live RX」なのである。ガソリンエンジンで発電した電気をバッテリーに供給し、バッテリー経由でプロペラを回すのだ。
これは、自動車でいえば日産のe-POWERと同様のシステムで、それをクルマ→飛行機に搭載しようという試みである。ちなみに、ガソリンだけでなく、次世代燃料e-fuelにも対応しているので、2030年代以降にパワートレーンの主流派を占める可能性のあるシステムと言える。
水素エンジン「α live H₂E」
既存のエンジン技術を活用し、燃料をガソリン→水素とした内燃機関が「α live H₂E」。水素はe-fuelと並んで次世代のカーボンニュートラルな燃料として注目されており、これを利用しようというのがこのエンジンなのである。
ボンベ1本あたり、最大出力運転時で1時間、アイドル運転時で3時間動作可能となる。車載型のガチガチに固定されているシステムではなく、人力で持ち運べる水素エンジンとして手軽に利用可能なパワートレーンということで注目できる技術であることは間違いない。
まとめ
どちらのエンジンもプロトタイプ段階で、モックアップ展示ではあるものの、既存の技術を改良してカーボンニュートラル燃料に置き換えていくという発想で生まれており、現状のバッテリーが抱える課題に対する一つの答えとなりうるだろう。
100年以上にわたり技術革新が続いてきた内燃機関のテクノロジーを捨て去って、電動化を進めるのではなく、内燃機関のテクノロジーを発展させて、使用する ”燃料” の変更で電動化・カーボンニュートラルを進めるヤマハの姿勢には、今後も要注目である。