2023年5月17日、アサヒグループジャパン、西濃運輸、NEXT Logistics Japan、ヤマト運輸は、2023年5月から日本初となる、水素を燃料に動く、燃料電池大型トラック(FCトラック)の実証実験を開始すると発表した。

燃料電池トラックの特長

トヨタと日野が共同開発したトラックで、航続可能距離は約600km。環境性能と商用車としての実用性を兼ね備えている。ちなみに、一般的なディーゼルエンジン搭載の大型トラックは、燃料タンクが300L一つ、または二つなので、燃費2.5km/Lと仮定して、おおよそ750km~1500km程走行できる。

また、EVタイプの大型トラックは、150~300km程度のものが多く、これから登場する最新モデルでも500kmが限度という。さらに、EVタイプの場合は充電に時間がかかることを考えれば、航続距離が長く、タンク式ですぐに充填できる水素燃料電池式のトラックにアドバンテージがあると言えそうだ。

燃料電池システムおよび高圧水素タンク

トヨタのFC技術を応用し、大型トラックに最適化したFCスタック(水素と酸素の化学反応によって発電する装置)を2基搭載。貯蔵した水素と大気中の酸素をFCスタックに取り込むことで発電し、その電気でモーターを駆動させることで車両が稼働する。さらに、新開発の大型高圧水素タンクを6本搭載しているため、前述の航続距離を達成している。

画像: 燃料電池システムおよび高圧水素タンク

燃料電池システムおよび高圧水素タンク

走行ルート

ヤマト運輸は5月17日、アサヒグループは5月19日、西濃運輸は6月から実証実験を開始する。

画像: アサヒグループが青、西濃運輸が赤、ヤマト運輸が緑のルートを走行する

アサヒグループが青、西濃運輸が赤、ヤマト運輸が緑のルートを走行する

乗用車ではEV化が進められているが、トラック業界では航続距離・充電時間の長さなど、バッテリーに起因するデメリットによりディーゼルエンジン搭載のトラックが主流派である。

今回の水素を利用した燃料電池トラックは、航続距離・充填時間の点でEVトラックに勝ることができるのかを検証するために導入された。今後、トラック業界がどのように脱炭素化していくのかを占う、重要な実験と言えるだろう。

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