自動運転レベルとは、自動運転の度合いを0~5までの6段階で表したもの。レベル3までは市販車が存在し、レベル4とレベル5は実証実験・法整備が行われている状況だ。その内容を詳しく見ていきたい。
自動運転車での事故は誰の責任か
レベル0~2までは、法律上運転の主体が人間なので、責任を取るのもドライバーとなる。また、レベル4については2023年4月の道路交通法改正で解禁されたが、過疎地域などで特定ルートを遠隔監視で走る乗客移動サービスを想定したもので、自家用車は解禁対象外となっている。レベル5に関しては、まだ技術開発も法整備も完了していない段階である。
一方、レベル3に関しては、2020年施行の改正道路交通法で、該当する自動運転車両に乗車している際の前方注意義務に関する規定が緩和された。
自動運転車に関する法律変更:第71の4の2の2
自動運行装置を備えている自動車の運転者が当該自動運行装置を使用して当該自動車を運転する場合において、次の各号のいずれにも該当するときは、当該運転者については、第71条第5号の5の規定は、適用しない。
(1)当該自動車が整備不良車両に該当しないこと。
(2)当該自動運行装置に係る使用条件を満たしていること。
(3)当該運転者が、前二号のいずれかに該当しなくなった場合において、直ちに、そのことを認知するとともに、当該自動運行装置以外の当該自動車の装置を確実に操作することができる状態にあること。
自動運転のドライバーに適用しないとする第71条第5号の5は、「自動車を運転する場合においては、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置を通話のために使用し、または画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと。」という規定である。
つまり、改正道路交通法では、レベル3の自動運転車両の自動運転中には、スマホを見るなどのいわゆる「ながら運転」をしても罰せられないことになる。ただし、安全運転義務まで免除されたわけではなく、走行中の車内でドライバーが眠ることは認められていない。
また、前方注意義務が緩和されるのは「運転者が当該自動運行装置を使用して当該自動車を運転する場合」に限定されている。日本のレベル3規制では、①時速50km以下、②渋滞などで先行車が存在、③高速道路、④精密地図のある区間のみが対象なので、この条件以外の状況では、従来の規制が適用されることになる。
まとめ
現在、自家用車として認可されているのはレベル3までで、一般人が購入できる車両は限られていることもあり、手動運転の時代がもうしばらく続くだろう。
また、レベル3が普及するフェーズに入ったとしても、基本的には責任の所在がドライバーにあることを自覚し、安全に注意して乗車する必要がある。