Yahoo!カーナビとYahoo!マップとは別物
まずはじめに確認しておきたいことは、「Yahoo!マップ」はこれまでナビアプリとして「Googleマップ」と共に人気アプリの双璧とされてきた「Yahoo!カーナビ」とは違うアプリであることだ。もちろん、提供元は同じYahoo!JAPANであることに変わりはないのだが、実はYahoo!マップは一段と高機能化して今年の3月にリニューアルを果たしたナビアプリなのだ。
第1のポイントは、Yahoo!マップのiOS版で「Apple CarPlay」に対応したことだ。これにより、ディスプレイオーディオ(以下:DA)の大きな画面でルートガイドが受けられるようになった。しかも、同時に組み合わせるiPhoneをサブディスプレイとして使えるようになった。これにより、DA側には地図を表示しつつ、iPhone側では案内ポイントをリスト表示するといった使い方を実現したのだ。
実は、カーナビの大半はルートガイド中、次に曲がるポイントしか案内を表示しない。それがiPhoneと組み合わせてYahoo!マップをDAで表示させることで、DA側には地図を表示できるようになる。たとえば一般道ではゴールに至るまでの右左折ポイントを、高速道路走行中なら経路上のICやSA/PAなどの高速道路施設を表示するといった具合だ。
これによって曲がるタイミングを4つ先までしっかりと把握しながら目的地へと進むことが可能となり、初めての道路を走る時にはいっそう心強く感じるはずだ。
第2のポイントは、Yahoo!カーナビとは違って、目的地の検索能力向上を図っていることにある。具体的には“場所を探す”と“そこへ行く”の2つの領域で力を入れて開発を行っているという。
それは行く場所を探すことを第一に考えるYahoo!マップならではの特徴として現れている。たとえばYahoo!カーナビでは目的地を探して対象がなければ「検索結果なし」で終了するが、Yahoo!マップではそれに関連する施設が提案される。利用者にはそこから新たなプランが浮かんでくることもあるだろう。つまり、目的地が曖昧な時にこそ役立つアプリとなっているのだ。
そして、“そこへ行く”は行き先が決まったら、いかにスムーズにナビゲーションをするかも考慮されている。もともとYahoo!マップでは電車やバスなどの公共交通、徒歩、自転車、そして自動車を含めた様々な移動手段別の案内を提供してきた。それを利用シーンに応じてワンタッチで切り替えることができ、ストレスを感じさせることなく、わかりやすいルートを提案できるよう改善されたのだ。
タクシーアプリと連携していることも強み
そのひとつがタクシーアプリとの連携で見ることができる。出掛けた先でよくあることだが、目的地へ移動しようと思った時、バスや電車では思うようなタイミングで乗れないことも少なくない。そんな時、ルート探索画面からタクシーアプリが起動することで、スムーズに目的地へと移動できるようになるのだ。
しかもYahoo!マップでは、これまでもタクシーアプリである「GO」、「DiDi」に加え、4月からは新たに「S.RIDE」との連携を開始。これによって、地域に応じて最適なタクシーアプリが利用できるようになったのだ。
一方でカーナビとして使う基本機能はほぼYahoo!カーナビと同じだ。地図データにはゼンリン製を使い、カーナビとしてのアルゴリズムを手掛けたのも住友電工で、いずれもYahoo!カーナビと同一だ。
主な機能としては、高速道路施設のアイコンを他の案内と区別して表示し、一目でわかるようデザインされている。ガソリンスタンドやレストランなどのアイコンが表示されているため、どこで休憩すればいいかが判断できるのだ。
また、大都市の一部ではリアルなCGによる交差点拡大図が表示され、高速道路の分岐や出入り口ではわかりやすいイラストが表示される。これはYahoo!カーナビでも好評を得ている機能でもあり、これまでのDAを超えるリッチなカーナビゲーションという新たな体験が可能になるわけだ。
また、iPhone単体でも高速道路表示に対応していることも、実際の使い勝手ではメリットは大きい。レンタカーにはDAとしての機能が備わっていないことも多いからだ。
もうすぐ始まるゴールデンウイーク。Yahoo!マップならクルマを使わなくても様々な移動シーンで役立つこと間違いなし。初めての場所に出掛ける時などは検索能力の高さ故にYahoo!カーナビよりもYahoo!マップの方が使いやすく感じる可能性は高い。いずれにせよ、どちらも無料で使えるわけだし、この機会にぜひスマートフォンにインストールして、より楽しい休日にしていただきたいと思う。
●著者プロフィール
会田 肇(あいだ はじめ)1956年、茨城県生まれ。大学卒業後、自動車雑誌編集者を経てフリーとなる。自動車系メディアからモノ系メディアを中心にカーナビやドライブレコーダーなどを取材・執筆する一方で、先進運転支援システム(ADAS)などITS関連にも積極的に取材活動を展開。モーターショーやITS世界会議などイベント取材では海外にまで足を伸ばす。日本自動車ジャーナリスト協会会員。デジタルカメラグランプリ審査員。
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