クルマおよびその周辺には様々な税金がかけられている。できれば負担は最小限に留めたいものだが、いわゆる環境対応車、EV(電気自動車)、PEHV(プラグインハイブリッド車)、HV(ハイブリッド車)を購入した場合、何がどの程度違ってくるのか。改めて確認しておこう。

HVの環境性能割は燃費基準達成度により変化

日本国内を走るクルマには、購入時にかかる消費税のほか、年1回納付する「自動車税(種別割)または軽自動車税(種別割)」、新車登録時と車検時に納付する「自動車重量税」、購入時に納付する「環境性能割」が課されている。

■自動車税
2019年10月1日付で新制度に変更され、税率が引き下げられた。たとえば、2019年9月30日以前に新車登録された1000cc超1500cc以下のエンジンを搭載するクルマの税率は従来の3万4500円のまま。

一方、同年10月1日以降に登録された同クラスのクルマは毎年4000円減税され、初年度は3万500円となる。仮に8年間所有したとすると、合計3万2000円(4000円×8年)の減税を受けられるようになった。

軽自動車税はすえ置き。減税は実施されず、1万800円/年のままだ。自動車税関連ではさらなる優遇を受けられる時限措置の「グリーン化特例」が存在するが、こちらは本稿の後半で説明する。

■重量税
車両の重さによって税額が異なる。自家用乗用車の場合は、車検証に記載されている「車両重量」に基づいて、0.5tごとに4100円/年(軽自動車は車重にかかわらず3300円/年)の納税義務が発生する。

新車登録時に3年ぶん、以後は車検の時=2年ごとにまとめて納付する。ただし新車の新規登録から13年が経過すると、0.5tごとに5700円/年(軽自動車は4100円/年)、18年目以降は6300円/年(同4400円/年)となる。

たとえば、車両重量が1.2tのコンパクトカーを購入する場合、1万2300円/年×3年分で3万6900円の重量税となる。重量税にも環境性能に準じて税負担を軽減する「エコカー減税」が用意されている。こちらも時限的に税負担を軽減する特例措置だ。こちらも後ほど説明する。

■環境性能割
自動車取得税に代わり、2019年10月1日から導入されているのがこれ。新車を購入、または中古車を購入または譲渡された場合(取得価額50万円以上)に課せられる。環境性能達成基準に応じて税額が異なるのが特徴で、その達成度が高いほど非課税もしくは税率が低くなる。

税額は、車種・仕様ごとに定められた「課税標準基準額」に「購入時に装着した車両と一体化したオプション(オーディオ、カーナビ、エアコンなど)」の合計額(取得価格)に税率をかけて計算される。中古車の場合は、課税標準基準額に残価率をかけたうえでさらに税率をかけて算出される。

環境性能割では、EV、PHV、FCV、そして天然ガス車は「非課税」となっている。対してハイブリッド車を含むガソリン車は2020年度燃費基準達成を前提に2030年度燃費基準をどれだけ達成しているかによって、税率が0から3%の範囲で設定されている。

85%から120%達成していれば「非課税」、75%から80%ならば税率は1%、60から70%は2%、60%未満なら3%だ。なおクリーンディーゼル車は2020年度燃費基準を達成している場合に「非課税」とされている。

軽自動車はEVなら「非課税」、2030年度燃費基準を75%達成以上でも「非課税」だ。60から70%は1%、55%未満は2%とされている。

環境性能割に加え、EV、PHV、FCVなど高い環境性能を持つクルマには、さらに時限的な税負担の軽減を行う特例措置が用意されている。

グリーン化特例とエコカー減税は時限措置

■グリーン化特例
新車登録の翌年度ぶんの自動車税を特例措置として概ね75%軽減する。
◎EV、PHV、FCV、天然ガス車に適用(軽EV含む)。

■エコカー減税
排出ガスのクリーン度や燃費性能に応じた重量税の減税措置が受けられる。現在は2030年度燃費基準の達成度に応じた減免となっている。
◎EV、PHV、FCV、天然ガス車→取得時および初回車検時の重量税が100%免税
◎ハイブリッド車を含むガソリン乗用車は2030年度燃費基準の達成度に応じて
90%以上達成車→取得時および初回車検時に100%免税
75%から85%達成車→50%免税
60から70%達成車→25%免税

EV、PHV、FCV、天然ガス車が優遇されている一方で、ハイブリッド車はもはや特別扱いされていないことがわかる(とはいえエコカー減税においては優位だが)。

ここであらためて留意しておきたいのは、「グリーン化特例」と「エコカー減税」はあくまで時限措置であり恒久的ではないことだ。「グリーン化特例」は2023年3月末日まで、「エコカー減税」は2023年4月末までの期間を予定していたが、どちらも3年間延期されることになった。

「グリーン化特例」は現行基準がそのまま延長される。「エコカー減税」は2023年12月末日まで現行基準が据え置かれるものの、2024年1月に減税の下限を2030年燃費基準達成率60%から70%に切り上げ、以後、2025年5月には80%に引き上げる。それに伴い、ハイブリッド車が受ける恩恵は徐々に減っていくことになる。

EV、PHV、FCVは、CEV(クリーンエネルギービークル)補助金の給付もあるのでお得感は今後もしばらく高いままだ。とは言え、令和5年度のCEV補助金は、税別840万円以上の高額車両は、算定された補助額に価格係数として0.8を乗じることになったので注意したい。

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