太陽と同じ水素の核融合反応で莫大なエネルギーを取り出す
核融合エネルギー(フュージョンエネルギー)は、海水から豊富に採取できる重水素と三重水素を用いて、太陽と同じ「核融合反応」で莫大なエネルギーを発生させるもの。世界人口の増加やAIの普及にともなう世界的な電力需要の急増に対応する、次世代の発電技術として期待されている。
Helical Fusion(ヘリカルフュージョン)は、2021年に設立された日本のスタートアップ。自然科学研究機構 核融合科学研究所における研究成果を活用し、日本独自の核融合炉形式である「ヘリカル型」核融合炉の実用化を目指して、「ヘリックス計画(Helix Program)」を進めている。

ベースロード電源を担える「実用発電」に求められる3要件をすべてクリアするための計画がヘリックス計画である。
同計画では、2020年代中をめどに二大開発要素「高温超伝導マグネット」と「ブランケット兼ダイバータ」の個別実証を完了し、2030年代中には、最終実証装置「Helix HARUKA」による統合実証、および発電初号機「Helix KANATA」により世界初の実用発電を達成する予定だ。
一方、愛知県内に50店舗を展開する地域密着型の食品スーパー「アオキスーパー」は、地球温暖化と気候変動による農産物の栽培適地の変化、そして海水温の上昇による水産資源への影響を深刻な問題として認識。2025年7月には、持続可能な社会の実現と地球環境保全への貢献を目指す活動の一環として、Helical Fusionへの出資をはじめている。
今回は、日々大量の電力を消費する需要家として、フュージョンエネルギーの実現が「環境にやさしいスーパーマーケットを通して生活を支える」というアオキスーパーの考え方に合致することもあって、電力売買契約締結につながったとしている。

Helical Fusionの田口昂哉 代表取締役CEO(写真左)、アオキスーパーの河野正幸 常務取締役 管理本部長(写真右)
これをきっかけに、フュージョンエネルギーの社会実装に対する期待が高まり、さらなる開発・投資の促進という好循環が生まれるのか、今後の動向にも要注目である。

