アルファロメオのコンパクトハッチ? いいえ、SUVです
日本においてのコンパクトSUV市場、ブランニューモデルが登場することは数年前より減ってきたものの、販売台数の面においては変わらず活況を呈している。ボディサイズはコンパクトで運転しやすいのに、SUVらしい背の高さにより存在感は大きく、ボディパネルの面積の広さもあって個性的デザインとするモデルも多いなど、売れている理由も頷けるという状況。
ではスポーツカーブランド、アルファロメオが新たに日本で発売した「ジュニア」はどうだろうか。ブラックのフェンダーアーチモールや高い位置にあるボンネットフード、ブラックアウト化されたリアバンパーや215/55R18というエアボリュームの大きなタイヤサイズなど、そうした個々のパーツを順々に見ていけばSUVらしいと感じられるデザイン/設計はそこかしこにある。

よく見ると、リアピラーにはアルファロメオのエンブレムの一部、人喰い大蛇「ビショーネ」が描かれている。ここ以外にも、エンブレムが隠れるように描かれているという。
ところが少し離れて全体像を見ると不思議とSUVっぽさは薄い。おそらく全高そのものは1585mmと低めに設定されていること、そして複雑な曲線を組み合わせたイタリアンデザインを感じられるボリューミーなフロントマスクにより、全幅が主要諸元の1780mmより広く感じられることも大きな要素ではないだろうか。アルファロメオのプレスリリースで「新型コンパクトSUV」と謳っているのだが、どちらかといえばコンパクトハッチバックと言った方が個人的にはしっくりくる。
1960年代に販売された「GT1300ジュニア」に由来するジュニアという名称が表すとおり、エクステリアデザインスポーティさを感じさせるもの。この印象はインテリアにも通じ、ドライバー中心に設計されたコクピットとなっている。センターコンソールで仕切られた運転席、運転に集中できるようにセンターディスプレイの装着位置を下げたレイアウト、ホールド感の高いシート形状などまさにドライバーズカーだ。
パワーユニットはふたつ(いずれも前輪駆動)を用意され、それぞれに、MHEVの「イブリダ」とBEVの「エレットリカ」というグレード名が与えられている。エレットリカは、最長494km(WLTCモード)の航続可能距離を実現する54.06kWhの駆動用リチウムイオンバッテリーを採用したBEV。156ps(115kW)/270Nmを発生させることで、BEVらしい滑らかさと低速域からの力強い加速感を両立させている。

AppleCarPlay/AndroidAutoを使用できる10.25インチセンターディスプレイは全グレードに標準装備される。
一方のイブリダは136ps(100kW)/230Nmを発生する1.2L直3ターボエンジンと、22ps(16kW)/51Nmを発生するモーター内蔵の6速DCT「eDCT」を組み合わせる。エンジンとモーターによるシステム総合出力は145psでエレットリカに少し及ばないものの、車両重量が250kgほど軽いので加速性能は同等に近いかもしれない。
グレード展開は、イブリダに装備が異なるふたつ「コア」と「プレミアム」が、エレットリカに「プレミアム」が用意される。これに加え、ローンチエディションとしてイブリダに200台限定の「スペチアーレ」も追加。アルカンターラ巻のハンドルや、レーシングシートで知られるSabelt製のアルカンターラシート、電動サンルーフなどを装着した仕様となる。
アルファロメオ ジュニア ラインナップ
イブリダ コア(1.2ターボ+6速DCT):420万円
イブリダ プレミアム(1.2ターボ+6速DCT):468万円
イブリダ スペチアーレ(1.2ターボ+6速DCT):533万円
エレットリカ プレミアム(モーター):556万円
アルファロメオ ジュニア エレットリカ プレミアム 主要諸元
●全長×全幅×全高:4195×1780×1585mm
●ホイールベース:2560mm
●車両重量:1580kg
●モーター:交流同期電動機
●最高出力:115kW(156ps)/4070-7500rpm
●最大トルク:270Nm/500-4060rpm
●バッテリー総電力量:54.06kWh
●WLTCモード航続距離:494km
●駆動方式:FWD
●タイヤサイズ:215/55R18
●車両価格:556万円