2025年5月17日・18日に東京ビッグサイトで開催された「東京GX アクションチェンジング(以下、東京GX)」では、モビリティ以外にもさまざまなGX(グリーントランスフォーメーション)技術が出展されたが、SMJの読者も気になりそうなものを紹介しておこう。

世界最小のCO2回収マシン「ひやっしー」

画像: 世界最小のCO2回収マシン「ひやっしー」の内部。

世界最小のCO2回収マシン「ひやっしー」の内部。

「ひやっしー」は、CRRA(炭素回収技術研究機構)という会社が開発した、世界最小のCO2回収マシンだ。大型スーツケースほど(高さ72×幅48×奥行き28cm)の筐体の中に、CO2センサーやエアポンプ、水タンク、CO2吸収カートリッジ、バッテリーなど、CO2を回収するシステムが内蔵されている。重量は約30kgで、移動用のキャスターが備わっている。

無機塩基系水溶液による化学吸収法でCO2を吸収するのだが、ボタンひとつで人間ひとりが排出するCO2をなかったことにできるという。ひやっしーの上部にセットされたモニターにより、空気中のCO2がどれだけ削減されたかも確認できる。

回収されたCO2からエチレンを合成し、石油代替燃料やアミノ酸に転換利用したり、またCO2をそのまま飲料水(炭酸飲料)や植物工場で利用するなど、利活用も考えられている。CO2濃度を適切に管理して空気環境を整えることで、オフィスや家庭で集中力や判断力が活かされ、より高いパフォーマンスを発揮できるという、気候変動への意識改革だけでないメリットもある。

画像: ひやっしーのモニター。CO2濃度が261ppmから164ppmに減少していることが分かる。
ひやっしーのモニター。CO2濃度が261ppmから164ppmに減少していることが分かる。

この「ひやっしー」、実はすでに5年ほど前から実用化されており、年額99万円のサブスクリプションで多くのユーザー(企業が中心)により使用されている。そして現在、サイズをより小型化し、またインテリアとして家庭のリビングルームに置いても違和感のないデザインを開発中で、この会場にはそのプロトタイプも展示されていた。

さらに、より大型の「ひやっしーパパ」も開発中だ。こちらは建物の屋上に設置するタイプ(サイズは8立方メートルを予定)だが、アミン修飾多孔質シリカによる化学吸収法で、年間34トンものCO2が回収できる。このCO2を活用すれば、年間に約180万本のビール(中瓶)や約430万本の炭酸飲料(500ml)が製造できるという。こちらの開発も楽しみだ。

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