送料はわずか100円、6日先の配送指定も可能
楽天グループは、これまで無人配送サービス実現に向けて、2019年から私有地での実証実験を開始し、2021年3月〜4月には馬堀海岸住宅地で日本初の公道走行実証実験を行い、2022年11月からはつくば駅周辺で期間を限定しない定常サービスを開始するなど、積極的に取り組みを行ってきた(つくば市でのサービスは終了)。
2023年4月に道路交通法が改正されて、自動配送ロボットが「遠隔操作型小型車」として新たに定義されたことも追い風となり、先行した事例の知見も踏まえて、今回の正式サービス開始につながったという。
最高速度5.4km/hとはいえ意外と速い
今回正式にサービスを開始する「楽天無人配送」は、楽天の専用サイトで店舗と商品を選び、ピックアップする場所と時間を指定することで利用できるというもの。最短30分後から、最大6日先まで15分毎の配送枠が用意されているため、今すぐ欲しい場合だけでなく、後で欲しいというニーズにも対応している。
ちなみに送料は100円で、年末年始と荒天時を除く毎日10時〜21時の間サービスを利用することが可能だ。
なお、サービス開始時点では「スターバックス コーヒー 晴海 トリトンスクエア店」、「スーパーマーケット文化堂 月島店」、「吉野家 晴海 トリトンスクエア店」の合計3店舗の約5300品が対象で、受け取り可能な場所には62カ所が設定されている。
使用される配送ロボは米Cartken社の「Model C」。容量は約24Lとそこそこ大きく、保温・保冷も可能なので飲食物の配送でも美味しさを保って届けることができるそうだ。
また、最高速度は5.4km/hと一見低速に思えるが、実際に走行している様子を見ると無人のモビリティとしては想像以上に速く、6輪の安定性と合わせて軽快に移動する。型崩れしそうな食品など慎重な取り扱いが求められる商品の配送には、時間がかかったとしても無人配送の方が良い、という場面もあるかもしれない。
使い方は簡単。誰とも会わずに商品を受け取れる
楽天無人配送を使うには、まずスマホから専用サイトを開き、販売店舗と商品を選択し、62カ所のお届け場所と15分刻みのお届け時間を指定。支払いは、クレジットカード、楽天ポイント、楽天キャッシュの3種類で、支払いが完了すると注文も完了する仕組みとなっている。
配送中は、配送ロボットの現在地が表示され、お届け場所に接近すると「あと5分で到着」などの通知が届く。到着時間が正確なことは、有人の配送サービスと比べ“無人自動配送サービス”だからこそのメリットと言えるだろう。
お届けスポットに到着すると、SMSと自動音声電話で同時に通知されるので、見逃してしまうことはないはずだ。ロボット本体の天面にある操作パネルに、スマホに表示される暗証番号を入力するとフタのロックが解除され、商品を受け取ることができる仕組みなので、知らない人に勝手に盗まれてしまう心配もないという。
惜しむらくは、現時点では対象店舗が3店舗と少なく、配送エリアも限定されているという点だが、便利なサービスであることは間違いないため、利用者が増えれば今後のサービス拡充にも期待が持てそうだ。
【楽天無人配送のサービス概要】
・対象店舗: 「スターバックス コーヒー 晴海 トリトンスクエア店」「スーパーマーケット文化堂 月島店」「吉野家 晴海 トリトンスクエア店」
・お届け場所: 晴海1丁目~5丁目と月島2丁目、4丁目の一部と勝どき2丁目の一部
・営業日: 年末年始などを除く毎日
・お届け時間: 10:00~21:00
・配送料(商品代は除く): 100円(税込)
・支払い方法: クレジットカード、楽天ポイント、楽天キャッシュ
【使用機材詳細】
・メーカー: Cartken Inc.
・型式: Model C
・サイズ: 長さ71 cm × 幅45.5cm × 高さ120cm
※高さは視認性確保のための旗を含む(ロボット本体は61.8cm)
・ボックス容量: 約24 L
・最高速度: 5.4 km/h