独自の技術で作りこまれたマイクロモビリティ
去る10月15日から18日に幕張メッセ(千葉県)で開催された「ジャパン モビリティショー ビズウィーク 2024」。ビジネスイベントとして合計203の企業・団体が参加して盛況のうちに閉幕したが、なかでも注目を浴びていたのがLean Mobility株式会社(以下、リーンモビリティ)が開発した都市型マイクロモビリティの「Lean3」だ。その完成度は群を抜いており、会期中はいつも人だかりができていた。また、各種報道で2025年半ばに台湾を皮切りに日本でも発売開始とアナウンスされたこともあり、その後が気になっている人が多いようだ。
「Lean3」については、過去にも紹介しているので詳細は省くが、簡単に言えば都市部での利用を前提としたマイクロモビリティだ。リーンモビリティでは、後述するロボティクス技術を採用したモビリティであることから “RideRoide(ライドロイド)”と呼んでいる。
乗車定員は2名で設計されているが、日本では法規の関係で1名乗車の原付ミニカーになる。将来的には2名乗車の超小型モビリティ(型式指定車)としての販売も視野に入っているようだが、車検不要の原付ミニカーに対して、超小型モビリティでは車検が必要となるので悩みどころではあるだろう(どちらも車庫証明は不要)。
想定される国内販売価格は90万円前後。バッテリーは別途サブスクリプションで提供するサービスを想定しており、こちらは月額3000円から4000円になる見込みだ。車両代は内容を考慮するなら非常にリーズナブルであり、バッテリーはガソリン代相当と考えれば総ランニングコストは軽自動車よりも抑えられる。
リーンモビリティでは自治体との連携も進めている。たとえば愛知県豊田市とは公務用車両、観光地における利用促進、市内の事業所や団体へ通勤車両としての導入、市民への導入支援などで協力するという。
バイクの取回し性と乗用車の安定&快適性を持つ
「Lean3」は、前2輪/後1輪の電動3輪車であり、後輪ホイールの中にビルトインしたいわゆる“インホイールモーター”で駆動される。さらに前輪側には「アクティブ・リーン・システム」と名付けられた独自開発のサスペンション制御システムも搭載。Gジャイロセンサーによって、旋回時や悪路走行時にも車両姿勢を安定させるロボティクス技術だ。バイクのような取り回しの良さと、乗用車の快適性と静粛性を併せ持つ。小さな車体ではあるが、中身は斬新かつハイテクの新しいマイクロモビリティである。
ちなみにリーンモビリティの谷中壯弘社長は、トヨタ自動車出身で在職中には「TOYOTA i-ROAD、C+pod、C+walk」の製品開発を手掛けていたマイクロモビリティのスペシャリストだ。台湾のLean Mobility Inc.と共同で2022年にリーンモビリティ株式会社を立ち上げたが、わずか3年でここまで完成させたのはさすがだ。
国内発売前に実車を確認するチャンス
上述のとおり、その完成度の高さで大注目のLean3だが、実際に走っている姿を目にしたことがある人はまだ少ない。そこで、紹介しておきたいのが11月2日、3日の両日に開催される「HANEDAスマートシティEXPO2024」。このイベントの一環として併催される「Pio PARK X 2024」のコンテンツとして、Lean3が展示されるとともにデモ走行を披露するという。
【PiO PARK X 2024開催概要】
【日時】2024年11月2日(土)、3日(日)
※車両展示はともに10:00〜17:00
【会場】PiO PARK:東京都大田区羽田空港1丁目1番4号 HICity ZONE K201
【アクセス】京浜急行電鉄空港線「天空橋駅」より直結
【参加申し込み】不要
【入場】無料 ※当日併催される一部ワークショップ型コンテンツは有料
「Lean3」の走りを発売前に目にするまたとないチャンスだ。「アクティブ・リーン・システム」がいったいどんな動きをするのか、その走りには期待大。お時間があるならばぜひ足を運んでいただきたい。
【主要諸元 リーン3プロトタイプ(日本仕様/原付ミニカー)】
・全長×全幅×全高:2470×970×1570mm
・ホイールベース:1800mm
・トレッド:850mm
・最小回転半径:3.6m
・タイヤサイズ:前90/90 R14 後150/70 R14
・乗車定員:1名
・駆動方式:後輪
・モーター:インホイールモーター
・最高速:60km/h
・電池:リン酸鉄リチウムイオン
・電池容量:8.1kWh
・充電時間:AC100V/約7時間 AC200V/約5時間※
・航続距離:100km(WLTCクラス1)
※暫定値