愛嬌あるデザインの電動スクーター「Indie」はPCXと同程度のサイズ感
CO2排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルへの取り組みはバイク業界でも進み、メーカー各社は独自に、または連携し合いながら研究開発が進めている。こうした取り組みはもちろん日本だけでなく各国で進行しているが、中でもインドの中央政府が掲げる「2030年に新車二輪販売台数の80%をEV(電動バイク)にする」目標は急進的だ。
朝の通勤時間帯に道路を埋め尽くすほどのバイクが渋滞を作っている光景を、映像や画像で見たことがある人も多いことだろう。そんなバイク社会のインドでは年間におよそ1800万台(2023年/日本は40万台弱)の新車が販売され、今も進む人口増加とともに市場規模のさらなる拡大も予測されている。そうしたガソリンエンジンを搭載した新車たちが電動バイクになれば、CO2排出量削減効果も相当に大きくなるはずで、インド中央政府がここに期待するのもうなずける。
2022年頃から電動バイクのラインナップは増えはじめ、2023年の新車販売台数の約4%(63万台)を占めるほどに拡大している。(販売台数や市場規模などの数値はジェトロ調べ)
そんなインド市場に向けて、電動バイク(スクータータイプ)の開発、製造、販売を行っている米国のスタートアップ企業が「River(World of River Limited, Inc.)」社だ。インド第4の規模を誇り、IT産業の中心都市としても知られるバンガロールの郊外には敷地面積約1万1000平方メートルの自社工場を構えている。
そこで生産されるのが、四角形2灯のポップなデザインと実用性を両立させた電動バイク「Indie」で、2023年秋に発売されたモデルだ。本国情報サイトを見るとホイールベースが1365mmとなっているので、そのサイズ感は国産ブランドでいうとホンダ PCX160やヤマハ X FORCEなど150ccクラスのシティコミューターと同等ということになる。
6.7kW(9.1ps)/26Nmを発生するモーターと4kWh容量のリチウムイオンバッテリーを組み合わせ、最高速は90km/h、航続可能距離は161km(インドのIDCモード)を謳われている。
この「Indie」を製造するRiver社に、総合商社 丸紅のグループ会社で新規事業創出を目的に国内外スタートアップ企業に投資を行う「丸紅ベンチャーズ」が出資した。これにより「丸紅グループの知見とネットワークを活用して、Riverの事業拡大を支援する」としている。日本での販売や共同開発など具体的な戦略は記されていないが、今後の展開が気になる事業であることは間違いない。